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基本情報
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山名 |
尾鈴山(おすずやま) |
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標高 |
1405m(一等三角点) |
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山域 |
九州山地 |
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都道府県 |
宮崎 |
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位置 |
N32.17.57/ E131.25.34 |
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地図 |
昭文社 山と高原地図57「祖母・傾・大崩山」
2万5千分の1地図「尾鈴山」
20万分の1地勢図「延岡」 |
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山岳区分 |
日本二百名山、九州百名山 |
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登山記録
山歩No |
2980-20029
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登山日 |
2020年11月21日(土) |
歩程 |
5時間30分 |
天候 |
快晴 |
形態 |
日帰り |
アプローチ |
東九州自動車道都農ICより県道307号 尾鈴キャンプ場 |
パーティー |
1人 |
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新型コロナウイルスの感染は、2020年4月上旬政府が緊急事態宣言を出して不要不急の外出を控えるように呼びかけ、企業もリモートワークの推進などで抑え込みを図った。 結果、感染者数は減り5月26日に緊急事態宣言は解除になった。 観光や飲食の産業は大打撃を受け、その救済を目的にした経済対策としてGo to travelキャンペーンが7月22日から始まった。 自分は9月、期限の切れる全日空のマイレージを使って11月の三連休に宮崎までの飛行機を予約した。 毎年ではないが、11月の勤労感謝の三連休は遠方の山へ行くチャンスとなっている。2009年に屋久島へ出かけたのも、2012年に四国の二百名山登山ツアーにいったのも勤労感謝の三連休だった。 宮崎空港からレンタカーでまわる一人旅はどのような景色をみることになるだろうか。
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羽田空港
朝5:00起床。 5:20に家を出て5:37最寄り駅からの出発。 横浜駅で6:00の空港行き急行。 6:25に羽田空港に到着してANAの受付へ。三連休の初日ということもあり、保安検査場への行列は恐ろしいほどだった。 7:20までに保安検査場を通過してくださいという指示で、7:00に保安検査場に。 自分のリュックだけ別ラインのコンベアに乗って移動してきたので、いやな予感がしたがが案の定係員に危険物所持と呼び止められてストックの長さを計測された。飛行機で登山にいくといつもこれである。 保安検査場通過後歩いてバス待合場について、牛乳とおにぎりを買う。
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ソラシドエアー
7:20にバスで案内される。今回の便は全日空とソラシドエアーの共同運航便である。ソラシドエアーは2015年まではスカイネットアジア航空うという名前であった。 宮崎をベースにした会社である。 黄緑の尾翼が恰好いい機体なので写真を撮る。 駐機場までバスで行って、そこからタラップをあがって搭乗。 幸荷物は自分の上のコンパートメントに格納できた。 3人掛けの真ん中の席。 混雑している時間なので仕方がない。
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宮崎空港
7:55離陸。機内では名物の「あごゆず」スープをもらう。 天気が良かったが、風が強いのか結構九州へ到着する前に揺れた。 9:45着陸。 到着してハレバレレンタカーに電話をして予約していた車(三菱ミラージュ)に乗り込む。ナビがついていて独立でシガーソケットが使えて快適。 CDもある。ただし喫煙車。まあ、それが安価で提供できるという秘訣なのかもしれない。 高速を使って東九州自動車道を走る。 まだ5年くらいの新しい路。宮崎から清武JCTを経て都農ICまで乗る。途中、川南PAで休憩。 昼食のたるたるチキン弁当230円とパン160円を買う。
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尾鈴キャンプ場
尾鈴キャンプ場到着は11:30を回っていた。 キャンプ場の駐車場はいっぱいだったが実際には登山者の車は少なく、 滝の見物の車だった。このキャンプ場は残念ながらコロナウイルス感染拡大の影響で、しばらく休業しているらしい。近所の子供たちにとっては、登山とセットで自然に触れる素晴らしい場所なので再開が待ち望まれる。ちなみに自分が1985年に買った「九州ワンデイハイク」というアルペンガイドには、このキャンプ場の名称に「クエントウキャンプ場」と記載されている。 11:57出発。坂を上がり、工事事務所のほうに進むと400mで別の駐車場があった。 6-7台は停められるだろうか。 こっちに停めればよかった。
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次郎滝・四郎滝
しばらく林道歩きが続くが、この林道の脇にも見どころがある。 都農町観光協会のホームページによれば、尾鈴山は、緑あふれる木々の間を澄んだ川が流れその水流には30を超える滝があり国内で初めて名勝指定された瀑布群だという。 確かに歩いていると、次郎滝・四郎滝と書いた札があり、決して大きくはないが、美しい水を放つ5mほどくらいの滝があった。 また、その先にはえのは滝という滝もあった。 しばらく歩いて千畳敷という河原があった。白浜の千畳敷と比べると小さいがまあこれもまたひとつの瀑布群の中の名所であろう。、
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登山口
林道を歩いて約30分、赤いテープで大きな矢印が書いてある横の沢を渡るとすぐに 登山口に到着。 九州自然歩道の標識がある。 ここから歩きだす。九州自然歩道は背振山へ行ったときも横切った。 宮崎県内では大分県境に接する高千穂町の国観峠から5市10町を経由して、鹿児島県境に接する高原町の高千穂峰に至る延長約350 kmのコースだという。 結構な距離である。 東海自然歩道が1700㎞だと考えると、宮崎県だけで東海自然歩道の2割の長さがあるということなので大したものである。
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3合目から山が見える
登山口を登って最初から急な登りであるが、すぐに1合目の標識が現れた。 基本的に樹林の中の道であるが2合目、3合目と標高を稼いでいく。3合目を過ぎてからは傾斜が少しなだらかになり先に進む尾鈴山の姿かと見える山塊が現れた。高校生が3人顧問の先生に連れられて下山してきた。 微笑ましい光景である。 もう今では大昔になるが、自分も高校に入ったばかりのときに山岳部に入部し、顧問の先生が鈴鹿山脈の釈迦ヶ岳に来てくれた。 先生は我々部員と別テントであったが面白いことに、一升瓶を持ってきていた。
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五合目
5合目で休憩。 下山する幾人かにすれちがった。 この地方は名馬の産地で、それに因んだ伝説もあり、山名もそれに由来する。その昔、山中の牧場に白馬がいて、ときどき、この白馬に山の神様が乗って都農の海岸辺りまで駆け巡っていた。その白馬の首の鈴が馬のいななきとともに鳴り響いたので、山の神を「お鈴様」と呼んだという。9号目を過ぎたところで見晴らしがよくなった。見える方角は北方面なので、2009年に登った大崩山であろうと想像する。 2007年から13年間使っていたカシオのプロトレックのベルトが故障して修理に出しているので残念ながら正確な方角がわからない。
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美々津
14:09登山道に200と書いた札がある。 美々津=若山牧水が始めて海をみた場所とある。 なるほど、若山牧水は1885年に宮崎県東臼杵郡東郷村(現・日向市)の医師・若山立蔵の長男として生まれて宮崎県立延岡中学校に入学し短歌と俳句を始めた人であるから、ここが初めて海を見た場所としての話も少し信ぴょう性もある。14:10、山頂に近いところであろう。 鳥居があった。尾鈴神社上宮があり、鏃が奉納されているらしい。せっかくなので参拝しようと思ったが財布を車の中に忘れてきたことに気づいた。 尾鈴の神様、申し訳ない。
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尾鈴山山頂
14:20に山頂到着。 山頂は木々に囲まれていて、あまり展望はなかった。山頂の奥の滝への下山路のところで休んでいる人が2人いたがそれ以外は時間が遅いせいもあるのだろう。 山頂に人影はなかった。 山頂で川南PAで買ったタルタルチキン弁当とパンを食べる。Wikepediaでは登山道は東側の甘茶谷、西側の板谷谷からのルート、南側の矢筈岳からの縦走路、北側の矢櫃谷からのルート(難路)と東西南北に登山口があったことが示されている。山頂付近にはスズタケや樹木が生い茂っているため眺望は良くない。展望台があったらしいが老朽化したため撤去されているので残念ながら展望を楽しむ山にはなっていない。先ほど書いた「九州ワンデイハイク」では「約9mのやぐらがあって台上からは、霧島連山・白髪山・九州中央山地・祖母大崩山系・日向灘の海岸線と360度の展望が楽しめる」と書いてある。今日は快晴なので、もしもやぐらがあったらすごい景色が広がっていたのであろう。 残念。
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矢研の滝への散歩道
14:45下山開始。 時間も遅いので登山者とは全くすれ違わない。 1時間かからずに登山口まで降りた。 最後はランニングのアプリStravaを起動しながら林道をジョギング。 3.8㎞をゆっくり30分かけて走る。 最後、尾鈴キャンプ場に到着したときには自分の車しか停まっていなかった。本当はガイドブックにあるような矢筈岳と白滝を回る周遊コースにしたかったのであるが、コースタイムが6時間半なので、下山したら19時になってしまう。 さすがに日の短い時期には無理である。 矢研の滝へと向かう観光客がまだ何台か駐車場に入ってきていたが、さっと着替えて16:30に車を出発させる。
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日向灘
都農ICから東九州自動車道を北に向かって進む。 日向灘が日没の空と映える景色を楽しみながらドライブである。 延岡JCTから北方ICまでは自動車専用道路であるが、そこから先は国道218号となる。 ここはなんとなく走ったことのある道の気がした。 阿蘇の山に登って鹿川キャンプ場まで走った2010年であろう。 そのときと逆コ ースを走行していることになる。 日之影町の橋はなんとなく記憶がある。 高千穂・日之影道路は当時はなかったはずである。 道の駅高千穂で休憩する。 観光案内所ももう18時を回っていて誰もいなかった。 ここから今夜の宿の五ヶ瀬町のキャンプ場まであと20分ほどである。 途中、ごかせ温泉木地屋によって立ち寄り入浴が何時まで行けるか確認する。 21時まで大丈夫だったので、まずキャンプ場に寄ってチェックインすることにした。
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日帰り温泉 木地屋
19:10五ヶ瀬の里キャンプ村に到着。 チェックインすると親切そうなお兄さんが受付をしてくれた。 Go toトラベルのクーポンが使えたので35%安くなってお得で宿泊できた。 管理棟の2階の大広間での雑魚寝であったが他に客もいなかったので、完全に山小屋に一人で泊まっている状態であった。 階段をあがってまずは荷物をおいて、それから風呂に行く。 クーポンが使えるので風呂は300円で入れた。 それでもちゃんとシャンプーなどは完備している。 受付をしてくれた人に聞いてみたら、首都圏からもお客さんが来ているらしい。 ただ、コロナ感染がさらに広がっているのでこのあとどうなるかわからないという心配にかられているとのことだった。 残念ながらごかせ温泉木地屋のレストランは宿泊客専用で外来者は利用できないようであったので、夕食はデイリーヤマザキでおでんをお惣菜を買って、キャンプ村の管理棟1Fで食べた。 宮崎の焼酎、黒霧島を楽しんだことはいうまでもない。
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九州遠征一人旅の第一日目はこうして終わった。 尾鈴山は決して派手ではないが瀑布とのコラボで楽しい森林浴を楽しませてくれる山であった。 高さが際立っていなくて登りやすいのもうれしい。下りの日向灘の景色が素晴らしかった。生家裏山にある巨石には酒を愛し、旅を愛し、自然を愛した歌人 若山牧水が「文学か故郷か」で思い悩んだ時の心境を詠んだ歌が刻まれている。 牧水はこの巨石に寝転んで大好きなふるさとの尾鈴山を眺めながら将来について一人考えていたという。尾鈴山はそんな文人のふるさとの山なのである。
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