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安平路山
安平路山

基本情報
1 山名 安平路山(あんぺいじやま)
標高 2363m(三等三角点)
山域 木曽山脈
都道府県 長野
位置 N35.37.50/ E137.46.28 
地図 昭文社 山と高原地図41「木曽駒・空木岳・中央アルプス岳」
2万5千分の1地図「安平路山」
20万分の1地勢図「飯田」
7 山岳区分 日本二百名山
登山記録
山歩No 2760-21010
登山日 2021年5月29日(土)
歩程 10時間20分
天候 曇り後晴
形態 日帰り
アプローチ 中央道飯田ICから県道8号大平宿より東沢林道
パーティー 1人

2012年の7月に中央アルプスの縦走をやった。 空木岳に登りそこから南駒ケ岳・越百山を越えて下山した。 残念ながら戻り梅雨でずっと雨だった。越百山を下りてから、車で飯田へ移動、翌日、擂古木山から安平路山を目指そうかと思った。 しかし、前泊した大平峠でも終夜雨が降り続いたこともあり気持ちがなえてしまった。相当の雨が降ったあとの悪路といわれる東沢林道も走りたくなかったのでそのときは摺古木山の入り口の偵察だけで引き返した。この安平路山。距離もあるので日の長い時期しか行けないとずっと考えていた。 緊急事態宣言が5月末まで延長になったが、自家用車の移動ならばよいかもしれないと思い、エントリーしていた都内のマラソン大会を棄権して山へやってきた。


中央道八ヶ岳PA

5月28日(金) 15:30に家を出て中央道経由、伊那を目指す。  府中スマートICから中央道に入る。 比較的すいている。 双葉JCTから中部横断自動車道が南に伸びているが標識が静岡になっていた。正確には南部IC~下部温泉早川IC間がまだ開通していないので全線開通は21年の9月になるようである。 昔は静岡から52号線を延々と北に走って笊ヶ岳に行ったが、これも少し便利になるということである。 18時に八ヶ岳PAで休んで南アルプスやや権現・編笠山の写真を撮る。少し小腹がすいたので名物の信玄最中アイスを買って食べてみた。

 

飯田峠

 日はとっぷり暮れてひたすら中央道を西に走ったあと、岡谷JCTから長野自動車道と別れて中津川方面へ南に走る。 20:30に飯田ICで降りてインターの近くの西友で夕食・翌朝の朝食の買いだしである。もうあまり総菜が残っていなかった。夕食はそこから飯田峠を経由して大平峠を目指す。松川ダムを超えて市ノ瀬橋を渡ったところで林道の表示を間違えて別の方面に入ったしまったので15分ほどロスしてしまった。 やはり暗い夜道は通行注意である。県道8号線を外れてナビがあらぬところを指しているので気づいた。 よかった。 市ノ瀬橋まで引き返して再び8号線に入る。 飯田峠は標高1235mである。 結構な高さがある。 峠の手前で、林道を動物が歩いていた。 最初、オオカミかと思ったがニホンオオカミは絶滅したはずである。 もっとも長野県でも目撃情報はある。 オオカミかと思ったこの動物、前に少し歩いていった。 よく見るとニホンカモシカであった。 こちらも天然記念物の希少動物である。 

大平宿

飯田峠からさらに20分以上走って民家が現れた。 大平村の集落である。 大平街道のほぼ中間地点、標高1150mの大平高原と呼ばれる山中のわずかな平地に建物が点在しているここは「いろりの里 大平宿」として保存され、。また一般開放されているので、協力費を添えて申し込めば、古民家一軒を借り切って宿泊(すべて自給による)することも可能となっている。「隠し剣 鬼の爪」最後の決闘シーンが撮影された場所もあるらしい。 この日は誰も宿泊している気配はなく真っ暗であった。
 (写真は翌朝撮影したもの)

大平峠

22:00に大平峠に到着。前にここで車中泊したときとは駐車場に区画線が引かれていたはずだが、今回停めた峠のトイレのとなりは禿岳の登山口になっている。どうも前回駐車したのは峠よりもさらに西のところだったのかもしれない。 大平峠1350mのあずまやの隣に駐車をして、晩飯の酢豚とかに風味サラダを食べてビールとよいとまけを飲んで23時就寝。さすがに標高が高いせいか、夏用の寝袋では少し寒かった。
(写真は翌朝撮影したもの)


東沢林道

5月29日(土)
朝5:20起床。 結局夜通し、この8号線で大平峠を通過した車は1台もいなかった気がする。 湯を沸かして、いつものように昼食用のα米のわかめご飯にそそぐのと合わせ、どんべえ肉うどんを作って朝食に食べる。 6:30に車を発進して、大平宿へと向かう。 大平宿の数件ある集落の一件の家の横に「摺古木自然園・中央アルプス縦走路入口」の標識がある。 さあ、ここから地図に「未舗装の悪路」と記載された東沢林道の始まりである。 とはいうものの途中の水道局の施設までは舗装道路である。そこから先は、まあ、悪路ではあるが、登山をする人にとっては普通のアプローチだともいえる。 途中で車から降りて落石を片付けなければいけないようなところは一か所もなかった。 

 

林道ゲート出発地点

 7:08ゲートに到着。 ガイドブックや少し古い山と高原地図では摺古木自然休憩舎(標高1770m)の場所まで車を乗り入れられるように記載されているが、基本、一般者はその先乗り入れ禁止と書かれている。ゲートは、カラビナで引っ掛けているだけみたいなので、簡単に外せそうに見えるし、実際あとで、摺古木自然休憩舎まで都内ナンバーの車は1台入っていたので行けるようである。 自分がゲート前についたときにはすでに先着2台停まっていて中には誰もいなかった。 どちらも都内のナンバープレートだった。 自分と同様前泊して早く出発したのであろう。登山者カードをポストに入れて7:10出発。


摺古木自然休憩舎

ここからは林道歩きが1時間半となる。東沢林道のゲートの出発点は標高1320m、摺古木自然休憩舎は標高1770mなので5㎞のこの林道歩きはそこそこ標高差もある。 8:23公衆トイレに到着。 これが摺古木自然休憩舎のトイレだった。 もちろん水洗ではないが紙も備え付けれていた。 また横に小川もあるので用を足したあと手を洗うことも可能だ。 8:33、摺古木自然休憩舎到着。 車が1台駐車してあった。小屋の中には誰もいなかったがきれいな小屋だったので昼間のうちに林道を歩いて、ここで宿泊して空身で安平路山を目指す人も多いのではないかと想像した。


登山者カウンター

摺古木自然休憩舎を8:40出発。 ここからいよいよ登山道となる。 ヤマレコで8月に歩いた人の記録ではもう、ここからささやぶの写真だったが、今回まだ5月ということで普通の登山道歩きで済んだ。歩き出してすぐ登山者カウンターがあった。 センサーで記録をとっているようである。 自分の通過で179人目。 これって今年の累計だろうか? 今月の累計だとしたらちょっと多すぎる気がするし。。。。 途中沢をわたるところもあった。 今日は登山靴ではなくトレランシューズなのでやはり防水性はよくない。 靴下の替えを持ってこなかったことを少し後悔した。 9:22登山道が二つに分岐した。摺古木山直登コースが往路50分、 周遊コースが70分とある。 YAMAPに記録を書いていた方が、登りに直登コースを下りに周遊コースを使っていたので自分もそれにならうことにした。  

摺古木山山頂

登山道の9:49、摺古木山山頂到着。 ここが標高2169mなので論理的には今日の目的地である安平路山まであと標高差200mないということになる。標高差900mのうち、もう7割を登ってしまったわけである。 摺古木山は本当はそこそこ展望のある唯一の場所のはずだが残念ながらガスに覆われていてあまり回りの山を見ることはできなかった。 決して天気が悪いわけではなく高曇りで太陽が上のほうは射しているのだが。

白ビソ山

摺古木山から先がちょっとやっかいであった。 下りはもう完全な笹のブッシュとなっており、いきなりズボンが夜露で濡れてしまったので、雨具を出して上も下も着ることにした。 藪漕ぎ覚悟の登山であることは、皆がヤマレコやYAMAPに書いてあるとおりであるが、結局このやぶがこの先ほとんどなので、あまりトレイルランニングの練習というわけにはいかなかった。 踏み跡は明瞭だが、その上に笹が覆いかぶさっているのでところどころ道がわかりにくくなるところがある。 ピンク色のテープを頼りに進む。 11:11、白ビソ山(標高2265m)に到着。 気のせいかささやぶの中で動物が動いているような気がした。

 

水場

白ビソ山を出て、しばらくいくと残雪が現れた。 まあ、5月であるから残雪があってもおかしくはない。 11:35、行く手の笹海に赤い屋根の安平路避難小屋が現れた。 避難小屋の扉を開けてみたが誰もいなかった。 非常用に寝袋も備えているようで室内に干してあった。避難小屋を出てさらに笹を分けて5分ほどいったところに水場の分岐があった。 水場はさらに5分ほど登山道を西に外れたところにあるようである。水場には立ち寄らずそのまま安平路山の山頂を目指す。 途中で下山してくる人とすれ違ったので聞いてみるとここから傾斜が急になるとのことである。

安平路山山頂

確かに残雪で道が少しわかりにくくなっていて傾斜が急になっている登山道を慎重にYAMAPの軌跡を見ながらルートをはずさないようにして登っていく。 12:33安平路山山頂に到着。 標高2,363.1m。 今年登った山の中では一番標高の高いところである。山頂には先ほど摺古木自然休憩舎に車を停めていたご夫婦がいた。シャッターを押してもらい、記念写真を撮影。 山頂からの景色は残念ながらなしであった。山頂では昼食にα米を食べる。 昨日買った野菜ジュースも飲んだ。 20分ほど山頂にいたが、12:57出発。 ここからまだ下山に4時間かかる。

再び摺古木山山頂

13:29避難小屋通過。 さきほど山頂にいたご夫婦が休憩しているので、お先にと声をかけて通過していく。 13:44、稜線上に水場の標識を見つける。 登ってくるときは気が付かなかったが確かに稜線を東に少し降りたところに小さな沢がある。 今の時期は雪解け水がふんだんにあるので上からでもたくさん水があるのがわかった。 幸い、今回は日射がきつくなくあまり水も飲んでいないのであまり水を飲んでいないので水場には降りずにスキップする。14:00白ビソ山到着。 1時間歩いたので休憩する。 14:56ロープを使って登り摺古木山の直下の強烈な笹ブッシュの地点を通り摺古木山へ。 15:12に摺古木山の山頂についたら、山頂には二人組の男性がいた。 結構大きな荷物を持っている。 聞くと、今日は安平路山避難小屋に泊まるのだという。 まあ、この時期は日没までが遅いのでゆっくり歩くのもいいかもしれない。 朝と違って、摺古木山の山頂のガスも抜けて正面には御嶽の前衛峰のような山地が見えていた。


トレイルランニング

1帰路は周遊コースを歩いてみることにした。 20分ほど長くなるのだが確かに笹の茂った山の景色を見ながら歩くことができた。 摺古木山山頂展望台は決して景色がよいわけではなかったがその先の自然林の中を歩いてみた。 あまり時間がないので途中で引き返して、摺古木山自然休憩舎への下山を開始。 途中、小さな沢の中を通るところがあり、シューズが濡れてしまった。 下りは少しトレイルランニングの連数の意味を込めて走ってみることにした。 


下山

16:30摺古木山自然休憩舎到着。 中で休んでいる方がいるようだったので声をかけずに小屋の前で休憩してシューズの中に入った小石をとって出発。 下りの林道は5㎞をほぼ休憩なく、10分毎に現在地を確かめながら進む。 17:26、ゲートに到着。自分より先に駐車していた都内のナンバー2台の車はもうなくなっていた。かわりに摺古木山の山頂ですれ違った2人組と思われる長野ナンバーの車が停まっていた。帰りはまた大平集落まで悪路を気を付けて運転しつつ、飯田峠を越えて飯田ICまで出た。 途中、20頭くらいの野生の猿の群れに遭遇した。 家までの中央高速はほぼ渋滞無しで帰ることができた。


安平路山のリベンジがついになった。 2012年の7月に中央アルプスの縦走をやったときから温めていた計画なのでやはり10年近くの歳月が過ぎたことになる。 噂どおりの藪漕ぎルートではあったが、このような道を歩くというのもあまり人が入らない二百名山ならのよさであろう。 摺古木山という一等三角点百名山を訪れることもできたのでガソリン代は高かったがまあ良い旅になったと思った。

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(2021年6月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています