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南駒ヶ岳
南駒ヶ岳

基本情報
1 山名 南駒ヶ岳(みなみこまがたけ)
標高 2841m
山域 木曽山脈
都道府県 長野県
位置 N35.42.05/ E137.48.39
地図 昭文社 山と高原地図40「木曽駒・空木岳」
2万5千分の1地図「空木岳」
20万分の1地勢図「飯田」
7 山岳区分 日本二百名山、信州百名山
登山記録
山歩No 2750-12029
登山日 2012年7月21日(土)
歩程 第一日 7時間10分
第二日 10時間10分
天候
形態 小屋泊まり1泊
アプローチ 中央自動車道伊那ICより国道361号国道19号須原
パーティー 1人

 土日に有給休暇を2日つけて、少し長い山の縦走をトライしようと考えた。もともと構想にあった中央アルプスの中核部の空木岳・南駒ケ岳・越百岳をぐるっと回ることを決心した。 計画の上で、7/19(木)の午後車で東京を出発、夕方までに登山口である伊奈川ダムまで入って仮眠。 20日(金)から22日(日)まで2泊3日で入っていこうとした。 幸い、2日前に梅雨明けが発表されて週間予報でも土日は曇り時々晴れとなっている。

中央自動車道にて八ヶ岳を見る

 7月19日(木)ほぼ予定どおりに、13:45に家を出る。 思ったほど川崎街道も渋滞しなかった。 調布から高速に乗って相模湖のあたりでえらく激しい雨に降られた。 
15:50談合坂PA。 ここで一回休憩をする。 かなり強い夕立だったが、幸いあがる。 16:46双葉JCTから八ヶ岳が見える。 17:23伊北ICを過ぎて夏の雲が見える。ナビはルートを羽広温泉を通って林道をあがる道を指している。 ここは昨年7月に経ヶ岳に登ったときに車を停めた場所だ。ただ、林道にある表示では通行止めで木曽方面には抜けられないと書いてある。少し不安になり戻ってガソリンスタンドで給油しながら道を尋ねる。 その林道は旧道でもう今は使われていないとのこと。 教えられたとおりにそこを出て伊那の町を南に進む。18:13右手にはうっすらと日没を迎えようとしている経ヶ岳が見える。 国道361号の権兵衛街道を進む。この道は結構新しくできたものか道幅も広く片側2車線で運転しやすかった。

伊奈川ダム駐車場

 木曽町に入ってからは国道19号を南に進む。 コンビニで氷と翌日の昼食のパンを購入。 ナビのとおりに須原の駅を過ぎてから、暗くなった道を確認しながら進む。 ダムの明るいサーチライトが見えたときは少しどきどきした。 林道の終点に駐車場があると信じて舗装のなくなった道をさらに1kmほど奥へ進む。 20:00伊奈川ダムの駐車場に到着。駐車車両は自分のものを入れて4台。車の中で仮眠をしていると思われるものはなかった。 最初は、車の中で寝ようとしたが蒸し暑いので車の横でテントを張ることにした。 おかげで涼しかった。 夜、トイレに立ったときには満天の星が見えた。

金沢土場

 7月20日(金)03:45起床。朝ぱらぱらとテントをうつ雨にテンションが下がる。
ゆうべコンビニで買っておいた冷やし中華を朝食に食べて、荷物を必要最小限のものに絞って 5:06駐車場出発。登山届をポストに入れる。 駐車場を出てすぐに今朝沢橋。ゲートが閉まっているが、歩行者は横の隙間から通ることができる。 林道は最初は左に旋回して駐車場を見下ろしながら高度を上げていく。 雨は霧雨のような感じでまだレインウエアなしでもなんとか歩くことができる。 林道に沢からの水が流れだしているところがあり、靴をぬらさないように気をつけながら渡る。 橋のたもとから、沢に降りている踏み跡があるところで「増水危険!自己責任で沢に下りてください」という看板がある。その横で 6:17に休憩。ここからさらに20分歩くと左手にほったて小屋がある。 戸が傾いている。 これが金沢土場の避難小屋だろうか? 6:35金沢土場に到着。 このあたりでそろそろ雨が強くなってきたのでレインスーツを着る。 6:43金沢土場を出発。ゆるやかな登り坂になっている左手に水場があったので、ポリタンクをいっぱいにする。 荷物が重くなったがペースは落とさず登る。 

六合目(北沢)

 やがて林道の終点地点。 7:14うさぎ平、小さなベンチがある。道はここから登山道になる。入り口の前に黒のミニバン(ヴァンガード)が停まっていた。 ゲートより中なのでおそらく小屋の関係者のものだろう。樹林の中の道を進む。 すぐに傾斜が急なところへたどりつく。ひとしきり登ると、7:45八丁のぞきに到着。 いわゆるここが五合目だ。 八丁のぞきというが景色を覗き見るところから見えてるのは八丁峠なのだろうか? 7:50五合目出発。ルートはここからゆるやかに下りとなる。標高差で50mほどぶなの樹林の中を下りて沢へ出る。沢を渡るところに10mほどのつり橋がある。おそらくこのつり橋は滑らないアルミ板のついたりっぱなものに最近付け替えられたようだ。増水したら渡れないとガイドブックには書いてあるが、たいていは大丈夫であろう。  8:13六合目(北沢)で水を飲む。 ここからルートは急なのぼりになる。 V字谷をあがっていくのだから急傾斜は仕方がない。

仙人の泉

 1時間ほど登ったところで、稜線の上に出た。 傾斜は少しゆるやかになる。 9:21七合目に到着。少し腹に入れるためにカロリーメイトを食べる。「仙人の泉」という水場まであと20分と書いてある。 9:30出発。尾根の南側の巻き道をゆるやかに登って、9:48仙人の泉に到着。 ほぼ登山道の脇に水場がある。のどを潤して出発。10:43八合目到着。ハクサンイチゲがきれいに咲いている。展望は残念ながらまったくない。 びっくりするほどの雨になっている。三脚を立てセルフタイマーで写真を撮影したが、レンズに水滴がついてうまく取れない有様。10:50出発。ルート上は少しくぼ地になっているので、そこに水が流れこむような状況である。ぶなの樹林は少しずつ薄くなり低木も現れる。 11:24見晴らし場到着。 本来ならここで御嶽が見えるようだか今日は何も見えない。おにぎりの昼食を食べる。 水溜りがあるせいか、薮蚊の大群がいて、ゆっくり座って食事できなかった。 体を動かせながらの飯はなんとなく落ち着かない。 11:37出発。雨が弱まった薄日が差してきた。展望が見えないかと期待したが、それはかなわなかった。 

木曽殿山荘

 ラジオが入りにくく天気予報が聞けないので、明日は晴れるといいな、などと思いながら歩いた。 道はやがて尾根の北側をとおり、また南側に乗り越したりして進んでいく。12:21義仲の力水に到着。水は滝のように落ちていた。8月下旬になると枯水するというのがうそのようだ。自分が着いたときは誰もいなかったが数分前に登山者の声が聞こえたので水を汲んでいた人が居るのだろう。木曽殿山荘で水を買うと高いのでここで汲んでいったほうがいいといわれたので、2Lのポリタンクを一杯にして、500mのペットボトルにも水を満たした。そこを過ぎると登りの稜線上に小屋が見えた。 今日宿泊する木曽殿山荘だ。12:33木曽殿山荘到着。予定よりも2時間も前に到着してしまった。入り口でレインスーツを脱いで軒下につるしておく。受付を済ませて、1Fのテーブルでお茶と甘いようかんをいただいて休憩する。 天気がよくなったら東川岳に登って空木岳の写真を撮影しようと思っていたが、天気がよくなる気配がないので2Fにあがって着替える。

山菜ごはんとおでんの夕食

 14時になって平塚から来ている男性が上がってきたので少し話しをする。 百名山の登頂をまとめた本も読んで時間をつぶす。1Fにストーブがあったので濡れたズボンを乾かす。 15時半ごろに、さらに2人男性がやってきた。 一人は大阪の人、最終的に客が5人、皆単独行の男性ばかりだった。 私が最年少。  17時から夕食となった。 小屋のご主人沢木さんの楽しい話を伺いながら皆でワインも少しいただく。 メニューは、おでんと山菜炊き込みごはん、ハムと春雨サラダもついたもの。ビールを飲んで乾杯。食事中に、ガスが晴れてきて南駒ケ岳まで見えるようになり、外に出て写真を撮る。18:55に天気予報をTVで見たら明日は、文句なしの雨。残念だ。 食後はいったん2Fに引き上げるが、19時ごろ下におりて日本酒を飲みながら歓談。 ポカリスエットのウイスキーカクテルもなかなかの味だった。結構酔っ払って20時消灯。 すぐに寝た。  

空木岳登り

 04:40起床。 他の登山客たちはもう4時すぎくらいから起きて準備をしている。4:50に沢木さんが、朝食の準備ができましたと呼びに来てくれた。 味噌汁とごはん(おかわりした)に梅干がうまい。準備をして05:45小屋を出発。稜線で写真を撮影し、歩きだす。 いきなりレインスーツが活躍する。 6:30岩場で休憩。 平塚の人と大阪の人と2人は今日空木岳を越えて池山尾根を降りるので途中まで一緒だ。 2人が追いついてそこからは3人で歩く。 シャッターを押してもらい写真撮影。 6:38出発。ここから次第に岩の多い道になる。26年前、ペンキが雪に隠れて見づらかった記憶がふつふつと湧き上がる。6:59第一ピーク通過。 ここから少し下ってきれいなお花畑を通過。 7:14鎖場を登る。登りきったところが山頂かと思いきや、まだ先が続いていた。 霧の中にもっと高いところが見えた。 山頂はまだ先だ。岩を登りきって7:35空木岳。 当然かもしれないが、山頂には誰もいなかった。 3人で交代でシャッターを押しながら雨の中を記念撮影。 大阪の男性は、ここが日本百名山の最後だといっていた。水を飲んで360度動画を撮影したあと、お二人に別れを告げて 7:50出発。縦走路を南駒ヶ岳に向けて南に進む。
<前回の空木岳登頂の記録はこちら「空木岳」

摺鉢窪避難小屋分岐

 8:05空木の下り、こちらは登りと比較するとゆったりしている。 下った鞍部で初めて雪渓を見つける。 縦走路は基本的に砂礫の道だがハイマツが茂っているところもある。8:15赤椰山への登りの途中にはきれいな石楠花が咲いていたので写真を撮影。ゆるやかな傾斜を登りきって8:53赤椰山 特に道標はなし、古ぼけた杭が一本立っている。ここからの下りがわかりにくく少し間違いそうになるが、木曽殿山荘で教えられたとおりに稜線沿いに進むと赤いペンキがあった。 空木までのルートと比べてペンキが薄いのでわかりにくい。 展望もなく退屈でもあり、ラジオをつけて聞きながら歩く。NHKの声で読む小説だ。 「1950年のバックトス」なかなかいい話だった。 9:00、今日はじめて登山者とすれ違う。摺鉢窪避難小屋に偵察に来ていた山岳遭難対策会の関係の方お二人だった。南駒ケ岳がまだ見えないので聞いてみたら、ここから30分くらの登りだということ。 9:06摺鉢窪避難小屋との分岐。写真だけ撮影して進む。 

南駒ヶ岳山頂

 南駒ケ岳への登りは道がわかりにくかった。 稜線を外れて、石とがれを登るような踏み跡をたどる道だった。 もしかしたら、途中でペンキのある正規ルートを外れていたかもしれない。 9:39南駒ヶ岳山頂。ここも山頂を独占。 たった一人なので、三脚を出して記念写真を撮った。深田久弥が空木岳を日本百名山にするか、南駒ケ岳を百名山にするか迷ったというくらいだから、相当景色もいいのだろう。 残念ながら今日は展望がない。 頂上の祠に安全下山の祈願をして9:51出発。

空木岳の山頂はやはり、誰もいないさびしい山旅だった。 小屋から一緒に上がってきた登山者が2人いたので、前回のような孤独感はなかったし、もちろん、山頂には雪のかけらもなかった。 なにしろ、山頂には、池山尾根と南駒ヶ岳への縦走路を指し示す道標が立っていた。 26年前にこの道標があれば、下りる地点がわからずに迷うことななかったのだろうか。
南駒ヶ岳も深田久弥が百名山にするかどうか迷ったくらいであるからさぞ素晴らしい眺めの山に違いない。 その景色をほとんど見ることができなかったのはいかにも残念である。
(2012年7月記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています