大天井岳
基本情報
1
山名
大天井岳(おてんしょうだけ)
2
標高
2922m
(三等三角点)
3
山域
飛騨山地
4
都道府県
富山・岐阜・長野
5
位置
N36.21.51/ E137.42.04
6
地図
昭文社 山と高原地図37「槍ヶ岳・穂高岳」
2万5千分の1地図「槍ヶ岳」
20万分の1地勢図「高山」
7
山岳区分
日本二百名山
登山記録
山歩No
2630
-22028
登山日
2022年8月7日(日)
歩程
10時間
(槍ヶ岳山荘ー燕山荘)
天候
快晴
形態
テント泊縦走5泊6日
アプローチ
JR富山駅から富山地鉄バスで折立まで
パーティー
1人
動画URL
https://youtu.be/Neflg4bgU-E
北アルプスセブンサミット縦走の4日目は、槍ヶ岳山荘から燕山荘までのいわゆる表銀座コースの縦走となる。 槍ヶ岳山荘が標高3080mなので標高2704mまでは400m近い下りルートになるのであるが、それでもこの日も登りが1220m、下りが1610mというコースなので気は抜けない。 そして地図上の標準コースタイムは10時間である。 やはり日没との闘いになることは避けられない。ただ、景色のよい北アルプスのメインルートであり、燕岳から大天井岳まで南に向かって歩いたことがあるものの北へ向かう進み方はこれまでなく、槍ヶ岳ー大天井岳も未踏のルートなので楽しみである。
槍ヶ岳山荘からの穂高岳/常念岳
2022年8月7日(日)快晴。 この日は早朝出発にするために、槍ヶ岳山荘の朝食を弁当にするかどうか迷ったのであるが、それでもせっかくの山小屋なので朝食も食べて出発したかった。 朝食は第二グループの5:40からの組であった。 おかずはおでんであった。ごはんと味噌汁をお代わりして腹いっぱいになり、乾燥室に干してあった衣類を回収してパッキングを済ませて6:28に出発する。 穂高と常念が雲一つない空の中に浮かんでおり見事である。 槍ヶ岳の穂先に登る人は鈴なりの渋滞となっていた。
東鎌尾根の稜線から振り返る槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘からは、直接稜線伝いにヒュッテ大槍へ至るコースと、いったん殺生ヒュッテまで降りてそこからヒュッテ大槍へ登り返すコースと2つのルートがある。 YAMAPの表示では、前者の直接稜線伝いに行くコースは2021年9月の地震で登山道が崩落して通行できないことになっているが、実際は、槍ヶ岳山荘にも通行止めのお知らせはなかったし、いざ登山道の入り口まで行ったときに分岐にそのアナウンスもなかったので、通行可能になっているのだとみなして進んでみることした。
ヒュッテ大槍
実際進んでみるとあまり崩落の影響などは見当たらなかった。 ただ、この東鎌尾根コースはそもそも岩場の狭いところにつけられた道であり鉄のはしごを下りる箇所が2か所ある。 通過するのに狭く、荷物が大きいと岩にあたるような危険もあるので注意しなければならない。 慎重に進んで、結局ヒュッテ大槍に到着したのは7:14とコースタイムの30分を大幅に超過した45分という時間をかけてしまった。 振り返って見ると槍穂がすごい迫力である。
鉄ハシゴ
7:21ヒュッテ大槍出発。ここから眺めの良い稜線上の下りとなる。 丸太を組んだ道が整備されているが丸太の上で滑るところがあるので注意が必要である。正面を見ると本日の縦走路である西岳・大天井岳・燕岳までの稜線がよく見えている。 8:03、ずいぶんと長い鉄のはしごが現れた。 混雑をする時間帯だと行き違いに時間がかかりそうである。 幸い自分の周りに登山者はいないようなのでそのまま進む。 滑り止めのついた軍手をしているのでしっかりとホールドを確認しながら自分に「慎重に」「慎重に」と言い聞かせて登る。
水俣乗越
8:28水俣乗越到着。 ここから西岳まで1時間半、結構急な登りになる。 距離は2.5kmと記載があるが、実際に目の前に見える西岳が天然の要塞のようにそびえたっているように見えた。登りの途中では鎖場につかまりながら登っていく箇所もあった。 ちょうど、西岳から槍ヶ岳を目指す登山者3人組とそこですれ違ったので彼らに道をゆずって立ったまま休憩をする。 鎖場が終わって登りきると渡り廊下のようなルートの補強が見えた。 西岳の山頂が近いかなと思ったが、いったん稜線にとりついたあと、ゆるやかに谷をまいていくコースになっていた。
ヒュッテ西岳
10:08西岳小屋に到着。 小屋によって売店で250mLの缶入りのコーラを買った。 小屋の方に聞くと西岳の山頂までは20分くらいだという。 せっかくなので西岳の山頂まで行ってみることにした。 小屋の前にリュックがひとつおいてあったので先行している方がいるようである。 自分が分岐から西岳への登りにかかったところですぐに下りてきたその方とすれ違う。 20分くらいですかと聞いたら、いえ、そんなにかかりませんよ、と言ってくれたので少し安心する。
西岳山頂
10:22西岳山頂到着。 標高2758mである。ここからは常念岳の山頂がよく見える。 稜線伝いにこれから登る大天井岳までの道が見えてている。まだまだ距離がありそうである。山頂でコーラを飲んで休憩して10:35出発。 赤岩岳まではゆるやかなハイマツの中の登りとなる。 11:40赤岩岳山頂到着。 標高2769m。 三角点がある。常念が道標の後にきれいに見える。 まだここから大天井ヒュッテまで2.8kmあるようである。ここで昼食をとることにした。 とはいえ、時間があまりないので、魚肉ソーセージとカロリーメイトのブロックだけである。朝槍ヶ岳山荘でごはんをお代わりしておいてよかったと思う。
大天井ヒュッテ
11:31赤岩岳出発。 標高2549mのびっくり平までは少し下りとなるのでスピードを上げる。 ここから大天井ヒュッテまでは200mほど標高差があるので樹林の中の登りとなりややしんどいところであった。 13:02大天井ヒュッテに到着。表銀座縦走コースの中継地として最適で、又近年槍ヶ岳北鎌尾根の前泊地としても利用されているという。 生ビールなやおでんという看板があり魅力的であった。ここから牛首山展望台まで20分ほどで登れるようであるが時間がないので省略することにした。ここからまだ大天井岳までは標高差で200mほどあり50分ほどかかる。
大天荘
への登り
大天荘までの上りは「大天荘まであと500m」 「大天荘まであと300m」という標識が出ているのではげみになる。 ただし、登山道からは大天荘が見えない。最後100mのところまできてやっと視界に入るのである。 下っていく方とすれ違うときに、あと少しだよ、とはげまされたが、下りのスピードと登りのスピードは違うので実際には、あまり少しではない。14:05大天荘到着。 この小屋は安曇野市の最高地点の小屋である。燕山荘と経営は一緒である。 ここで500mLのコーラを買った。ヒュッテ西岳よりも100円安い値段であった。
大天井岳山頂
このあと、大天井岳に行くのであるが大きなミスをしてしまった。 実は大天荘の裏がもう山頂へのルートになっていたのだが、自分は誤って反対側の常念へのルート上にあるピークが山頂だと勘違いしてそちらにいってしまった。 途中で気が付いて(そちら側のピークにはほとんど人が見当たらなかったので)引き返すが10分ほどロスしてしまった。 小屋の裏手から山頂に登る道を確認して10分ほどで大天井岳の山頂に到着。 常念山脈の最高峰2922mのピークで万歳三唱をした。
大天井岳の下り
14:42大天荘出発。 下り初めて10分ほどのところで、レンジャーの恰好をした2人組にすれ違う。 これからどこまで行くのですか?と聞かれたので、燕山荘でテントを張ります。 予約もしています。といったところ、時間がもう15時で、天気が崩れると雷が危険なので、もう大天井岳のテント場で幕営したらどうだと勧められた。 聞くと大天荘の職員の方だということ。 テントも食料も持っているしどうしても翌日餓鬼岳まで行きたいので、最悪天候が崩れたら無理せずビバークしますと告げて先に行かせてもらった。まあ、皆が皆TJARの選手のように雨や夜間に歩ける技術と体力を持っているわけではないので止められてしまったのももっともである。
大天井岳は1988年に登った山である。 この時は合戦尾根を登り燕岳を経由して大天井岳までたどり着いた。夕方ふらふらになりながら大天荘のテント場に到着したのを覚えている。 やはり標高の高い山なので縦走路の半ばにあるといえ手ごわい山である。 ここから夕方の稜線をたったひとり、燕山荘のテント場に向かう旅が始まる。
(2022年12月 記)
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号 平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています