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燕岳
燕岳

基本情報
1 山名 燕岳(つばくろだけ)
標高 2763m (二等三角点) 
山域 飛騨山地
都道府県 長野
位置 N36.24.24/ E137.42.46 
地図 昭文社 山と高原地図37「槍ヶ岳・穂高岳」
2万5千分の1地図「槍ヶ岳」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 日本二百名山・新日本百名山
登山記録
山歩No 2620-22029
登山日 2022年8月8日(月)
歩程 第一日目 10時間 (槍ヶ岳山荘ー燕山荘)
第二日目 6時間50分(燕山荘ー餓鬼岳小屋)
天候
形態 テント泊縦走5泊6日
アプローチ JR富山駅から富山地鉄バスで折立まで
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/LzgeCHtBc2w

 北アルプスセブンサミットを歩く旅は、2022年8月4日(木)に富山を出発し薬師峠にテント泊、8月5日(金)に黒部五郎岳と三俣蓮華岳を登り三俣山荘のテント場に宿泊、8月6日に朝鷲羽岳をピストンアタックして双六小屋経由、槍ヶ岳まで縦走、登頂して槍ヶ岳山荘に宿泊、2022年8月7日(日)朝、槍ヶ岳山荘を出発して、表銀座の縦走路を西岳・大天井岳までやってきた。 いよいよここから燕山荘までの夕方の一人縦走が始まる。

大天荘出発

 大天荘を14:46に出発。 縦走路に入ったところで小屋の職員のパトロールの方に呼び止められて、あわや大天荘のテント場に引き返さざるをえないか、ということになったが、食料もテントも持っているので最悪天候が崩れたら雷を避けてビバークします、といって先に進ませてもらう。(詳しくは「大天井岳」を参照) ちょうど15時という時間帯は、朝中房温泉を出て合戦尾根を登った方が、燕山荘を通りすぎて大天井岳泊するその日のゴールにたどりつかんとするところのようで、結構バテバテの数多くの登山者とすれ違う。 1988年には自分もそうであった。 

稜線を進む

 なので喜作レリーフのある切通岩のところまではすれ違いに時間がかかったが、そこを過ぎると登山者の数もぐっと減って15:30に2699mのピークにつくころには、もうすれ違う人はあまりいなくなった。砂礫地帯はコマクサの群落になっており、ピンク色の花が目を休めさせてくれた。為衛門吊岩の手前は結構うっそうとブナが生い茂る林となっており、そこまでのハイマツの縦走路とは様相を異にするようだった。 遠くから雷の音が聞こえたような気がしたが、耳をすますと飛行機の音であった。


樹林の中で遭遇する動物

 為衛門吊岩の手前の樹林の中で突然林の中でガサガサという音が聞こえた。 次に、うーというような獣のうなり声も聞こえた。 もしやクマと身構えたが、どうももう少し小さな動物が複数いてお互いに声を掛け合っているような感じであった。 答えはニホンザル。 鹿島槍ヶ岳から爺ヶ岳に登る途中でも、サルに遭遇してクマと間違えて慌てたが、今回も同じようである。 正体がわかってほっとしたが、何しろ、もう誰ともすれ違わない完全単独行なので、サルの側でもこんな時間まで行動している人間がいるのかと驚いたかもしれないとも思った。 

大下り

 サルとの遭遇を経て、鞍部から大下りの登りが見えた。 標高差は100mほどだというが結構な斜面に見える。 稜線には少しガスが漂い始めているが視界を奪うほどではない。 登りは砂礫の道であるが踏み跡ははっきりしている。 16:28大下りの頭にたどり着いた。 振り返ると大天井岳からの下りがはっきりと見えた。 さて残り1時間ほどの道のりである。


蛙岩

 大下りの頭を過ぎてからは、表銀座らしい岩と砂礫の縦走路となった。 17:05目の前に大きな岩が現れた。 蛙岩だった。 (「かえるいわ」と読むのかと思ったら、「げえろいわ」と呼ぶようである。)確かに、蛙の形をしている。岩の間を縫うようにして進むとその先に燕岳の山頂が見えた。 その手前に燕山荘の赤い屋根が見える。 本日のゴールはもうまもなくである。

 

燕山荘到着

  17:41燕山荘到着。 予約してあったテント場の受付をする。 自分の場合、最初に予約をしようと思ったときはWEBで空き無しの表示であったが、直前で週間予報に雨マークがならんだことでキャンセルが出たようで、出発の前日に空きがでたところをすかさずウェブで予約をしたのでラッキーだった。 受付で聞いてみたら本日の到着予定は自分が最後ではなく、まだ到着していないグループが2組くらいあるようである。 燕山荘の売店で水を買ってテント場に行く。 隣にテントを張っている単独の女性にTJARの速報を教えてもらう。



燕山荘テント場の夜

  翌日8月8日(月)は再び餓鬼岳小屋どまりで夕食つきなので、テントに宿泊するのは今日が最後となる。 持ってきたアルファ米と味噌汁は食べてしまおうということで少し調理に時間をかけた。 そうこうしているうちに太陽は傾いてしまった。 燕山荘で買ったビールを飲みながら、20時半に寝袋に入る。 歩きすぎなのか、コーラを飲んだせいか、寝つきが悪く、22時過ぎまで起きていた。隣のテントの若いグループは立派な望遠レンズをもって夜星の撮影をしていた。深夜は少し風が吹いていてテントがバタバタとなっているのを夢うつつの中で聞いていた。


朝の燕山荘から見る槍ヶ岳モルゲンロート

 2022年8月8日(月)朝5:40起床。 そろそろ縦走に出かける周りのテントの人たちは起き始めてテントを撤収していた。燕山荘に行って、モバイルバッテリーの充電を限られた時間で行う。 朝食に湯を沸かしててんぷらそばを食べる。 テント場の横に簡易トイレがあるがその向こうに見える燕岳と針ノ木岳が朝日に照らされて見事であった。7:00にテントを撤収して燕山荘にいって、テント場の札を返却する。 水を買い足して、燕山荘出発。 

燕岳

 燕山荘および燕山荘テント場に宿泊していた方は、昨日のうちに燕岳へ登ってしまった人が多いのか、思ったほど山頂へ向かう人が多くはなかった。小学生を連れたお父さんとの2人組の後を歩く。 7:28燕岳の山頂に到着。 山頂には標識はなかった。 万歳三唱をする自撮り動画を撮影したかったが山頂に登山客が多かったので、はずかしいのでそのチャンスは北燕岳に先送りすることにする。山頂にいた人に頼んで、槍ヶ岳をバックにした写真を撮影した。 
 

北燕岳山頂

 燕岳を出ると歩く人が急に少なくなった。 北燕岳の手前にコマクサの群落があった。 北燕岳は、稜線から外れて岩の上をあがった頂上にあった。 こちらは燕岳と違って山頂は誰もいなかったので万歳三唱の動画を撮影することができた。 北燕を出てからはお花畑の中を進んでいく。 稜線の西側だと風が吹いているが東側だと無風ということで体感温度の大きな差を感じた。 2682mの三角点のある稜線のハイマツから90度東に折れ曲がるように下っていく。 途中、Goproを頭に付けた男性とすれ違う。 この道は踏み跡が少ないですねといって少し会話をする。

東沢乗越へ歩く

 ここから急速に高度を下げていく。 9:53東沢乗越に到着。 ここで少し休憩しカロリーメイトで補給をする。中房温泉からあがってきた3人組の方が餓鬼岳へ向かうという。 聞いてみたら、今日、餓鬼岳小屋に泊るのではなく、もう今日のうちに白沢まで下山してしまうという。 すさまじい健脚である。 当然ながら道をよけて先に進んでもらった。 10:16東沢乗越出発。 東沢岳まで樹林の中をジグザグを切って登っていく。


久しぶりに燕岳に来たのであるが、やはり人気の山である。 燕山荘は今回の山旅の中で老若男女を問わず一番登山客が多くいた小屋ではないだろうか? 自分も朝の早い時間にこのように燕岳・北燕岳の展望を眺めたのは初めてのことだったので、眺めの良さに改めて感動した。ここから餓鬼岳までの縦走は常念山脈の深部で未知の領域である。燕岳をさして「北アルプスの女王」という呼び方をすることがある。 松本からの距離の近さとコマクサの群落という高山植物がなせる業なのであろう。   

(2022年9月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています