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針ノ木岳
針ノ木岳

基本情報
1 山名 針ノ木岳(はりのきだけ)
標高 2,321m
山域 飛騨山脈(北アルプス 後立山連峰)
都道府県 長野県・富山県
位置 N36.32.17/ E137.41.04 
地図 昭文社 山と高原地図35 「鹿島槍・五竜岳」
2万5千分の1地図「黒部湖」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 日本二百名山、新花の百名山、甲信越百名山
登山記録
山歩No 2550-11020
登山日 2011年7月31 日(日)
歩程 5時間10分
天候 雨後曇り
形態 前夜発テント1泊
アプローチ 上信越道信州松本ICより-松本電鉄バスさわやか信州号「扇沢」下車
パーティー 2人

2011年7月29日金曜夜行発で扇沢に入り、30日に針ノ木雪渓を上がった。 今回は針ノ木峠にテント1泊と荷物の重い行程である。梅雨が明けて本来この7月の末というのはもっとも天候が安定した夏山シーズンまっさかりのはずであるが、あいにく今年は戻り梅雨のようになってしまい、針ノ木雪渓もレインスーツを着たまま登山することになってしまった。前日の蓮華岳も幸い山頂に行くときには雨がやんでいたが、あまり展望を楽しむことができなかった。 本日登る針ノ木岳は1985年に登った山だが、そのときの素晴らしい景色をもう一度見たいという気持ちで標高2500mの峠までテントを担ぎ上げてきた。   

針ノ木峠

朝4:30に起床。 ぬれた靴下とズボンを脱いで寝たので、正直少し寒いくらいだった。  まわりは雲に覆われているが、日も差して決して天気が悪いとはいえない。 槍見荘という名のトイレの個室があって、東の方面に小窓がついていた。 そこから決して槍ヶ岳は見えなかったが天気がいいときは見えるのだろうか? EPIで湯を沸かしてきつねうどんの朝食を食べて、テントはそのまま撤収せずに出発5:50。稜線のテント場から、すぐに登山道は急な岩場になってそこを登っていく。 10人連れくらいの中高年が前を歩いている。 おそらくツアーで参加した人たちだろう。 最後尾を歩くリーダーだけが異常に若い。おそらくこの方はガイドなのだろう。 われわれが近づいていくと、機敏にルートを空ける指示を出していた。 

鳴沢岳を臨む

6:30に霧が急速に晴れていって、後立山の縦走路がきれいに見えた。 雪倉から鹿島槍ヶ岳まできれいに見える。 鳴沢岳からの稜線もきれいに見える。 日焼け止めを出して腕や顔に塗る。 追い越していった10人グループに、思わず、絶好の縦走日和になりましたね、と声をかけてしまった。山頂までは、やはり、200mの標高差を登ることになるので、結構急な登り、小石の敷き詰められた登山道をジグザグを木って登っていく。前方の山の陰からは、北方向に大きな山塊が見えた。 おそらく、剣岳であろう。 

白馬・鹿島槍遠望

後立山連峰の眺めは特に感激するものがあった。 1985年の8月にたった一人で、五竜岳からこの針ノ木岳まで縦走したコースがそのまま見えた。 実は、その前月1985年7月に白馬から雪倉まで縦走もしていたので、その年は、白馬ー五竜間を除く後立山連峰を歩いていたことになる。 26年の歳月を経て、今度終点の南の峰から北に伸びる稜線を見ることができた。 白馬岳と鹿島槍岳はどちらも双耳峰だというのもこの方向からだとよくわかる。 

針ノ木岳山頂

 6:56に山頂に到着。 残念ながらこの時間にはガスが上がってきてしまっていて、もはや展望を見ることはできなかった。 20分ほど前にすれちがった人が、黒部湖も見れましたよといっていたのでわずかの差だったのだろう。 2等三角点にタッチをして、ソーセージとポカリスエットで、小休止。 最高の展望の場所なのだが、それが見られない。鳴沢岳への縦走路は最後まで見えていたが、やがて、それも雲に覆われてしまった。 それでも一応、山頂で写真を撮る。25年前に来たときの素晴らしい景色をもう一度この目に焼き付けたかったのだが、残念ながらそれはかなわぬこととなった。

下山開始

やがて小雨が降り始めて、山頂には誰もいなくなってしまったのでわれわれも下山することにする。 7:32針の木岳山頂出発。 くだりの道は東面の岩の間でミヤマキンポウゲやチングルマがあり、素晴らしい景観を呈していた。。

ライチョウ

30分ほど下ったとき、ライチョウのつがいが土手の上を歩いているのを発見したので、動画を撮った。8:23に峠に戻る。 雨の中の作業となったがテントをたたんで9:03に出発。 針ノ木小屋に別れを告げ、急な斜面を落石に気をつけながら降りていく。  

針ノ木大雪渓

9:51に沸き水のある水場でポリタンクに給水。そこから先は、アイゼンをつけて雪渓を降りる。 白馬大雪渓、劔沢雪渓と共に 本3大雪渓に数えられだけあって規模は大きい。 途中、融雪している部分は、夏道を通らざるを得ないので、登山者にルートを教えてあげながら進む。 11:00、雪渓の尻に到着。 ここでアイゼンをはずして、ドライマンゴーを食べて休憩。 11:05出発。 あとは夏道を進む。  

大沢小屋のコーヒー
下草を刈ったルートが現れると大沢小屋は近い。 11:51に小屋に到着。 先行していた小屋どまりの親子とまた今日も一緒になった。小屋番の三十台男性に昨日と同様にコーヒーを入れてもらい、休憩をする。 彼は姫路の出身なのだが、今、実家は九州で、住民票はそこにおいているも、6月から10月までは大沢小屋か針ノ木小屋にいて、あとの半年は沖縄で暮らしているとのこと。 小屋も今晩10人の宿泊が入っているとか、いろいろ話しをしてくれた。 

針ノ木雪渓遠望

 大沢小屋で、おもわず長居をしてしまい、12:17に小屋をあとにする。途中、何度か沢を渡るが、伏流水がこんこんと沸いている水場もあって、雪渓の下の地形をあらためて興味深く見る。  車道を歩きながらY.Tさんと、飯豊や朝日にいったときの話をしつつ、13:54に扇沢に到着。ちょうど、トロリーバスが入ってくるところだった。
 

扇沢黒部カレー

 扇沢は、お客様感謝デーということで、無料でカキ氷を振舞ってもらい、840円の食券を買って、2Fのレストランでカレーを食べる。 グリーンカレーでサラダもついており、なかなかおいしかった。 セルフサービスの水をよいことに、焼酎を飲み、いい気分になる。 汚れた登山靴を水道であらって、荷物の片づけをして15:15に新宿行きの、さわやか信州号3号車に乗車。 栂池から来る1号車は扇沢には寄らないようで、始発だったせいもあり、十分に座れた。 隣の席の男性は相当の山好きで去年の針の木の写真、槍穂縦走の写真を見せてくれた。梓川SAで休憩のあと、19:30の談合坂SAでの休憩までぐっすり眠ってしまった。 談合坂は混雑していたので食料を買うことはできず、唯一、おやきだけをGetできた。 小仏トンネルの20kmも渋滞もさほどひどくなく21:15 新宿西口に到着。 22:30には家に帰ることができた。



5年前に見た針ノ木岳からの展望を期待して登ったが、天気が悪くて、少し残念な結果になった。まあ、またおいでよという山からのメッセージなのだろう。 200名山だが、その名に恥じない素晴らしい山、そして初めて登ったが、針ノ木雪渓もすばらしいコースである。
(2012年1月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています