 |
 |
基本情報
1 |
山名 |
妙義山(みょうぎさん) |
2 |
標高 |
1104m(相馬岳 ニ等三角点) |
3 |
山域 |
関東山地 |
4 |
都道府県 |
群馬 |
5 |
位置 |
N36.17.55/ E138.44.56 |
6 |
地図 |
昭文社 山と高原地図21「西上州」
2万5千分の1地図「松井田」
20万分の1地勢図「長野」 |
7 |
山岳区分 |
日本二百名山、関東百名山 |
|
|
登山記録
山歩No |
2380-21008
|
登山日 |
2021年4月11日(日) |
歩程 |
5時間30分 |
天候 |
快晴 |
形態 |
日帰り |
アプローチ |
上信越道松井田妙義IC県道213号 |
パーティー |
1人 |
|
 |
|
 |
|
|
1月からコロナ感染症の拡大防止のために出されていた緊急事態宣言は大阪・兵庫などの府県から遅れること3週間。 首都圏でも3月22日より解除となった。
ようやく、車で山に行くことができる。 スギ花粉も今年は飛散がそこそこ多いものの2月から薬を飲んでいるせいであまりくしゃみが出ることもない。さてどこの山に行くか考えたときに思いついたのがこの妙義山相馬岳である。 ランニングと筋トレで体力の状態は比較的よい。 これ以上加齢でバランスが悪くなってくると岩場の山に行くのも危険が多すぎる。 自分にとって日本二百名山を目指すにしろ、関東百名山を目指すにしろ、この妙義山の相馬岳は避けて通ることができない。 しかし、このコースは手ごわい。 ガイドブックにも「熟達者向き」と記載されている。昭文社の「日本二百名山を登る」の中に「登頂困難な二百名山」というカラム記事があって「西上州の妙義山は奥の院の長い鎖・鷹戻しなどが有名な悪場で、近年では遭難件数が谷川岳を抜いた。」と書かれている。 正直、自分に行ける山なのだろうか? ありがたいことに最近ではこれらの難所の攻略を動画でYOUTUBEにアップしてくれている登山者の方がたくさんいる。 体調・天候すべてが整わないと厳しいので雨や風の少なくまた汗でグリップが滑るというリスクも少ないこの4月に意を決してチャレンジすることにした。
|
上信越道
4月10日(土)天気は晴れ。 この日の最高気温は12度。 翌日日曜日も好天が予想され最高気温は16度になるという。 前の週の暖気が去って少し寒気の影響は受けているものの風は強くなさそうなので週末絶好の登山日和だといえそうである。金曜日いつものように都内に出勤して残業もあったので山へ行く準備も土曜日から始める。 昼食を食べて15時半に車で出発。 マイカーで車中泊というのは1年前の野伏ヶ岳以来である。関越に乗るまでの都内の環状八号線はいつものように混雑であったが関越自動車道にのってからはさしたる渋滞もなく途中寄居PAでトイレ休憩をしたあと順調に藤岡ジャンクションを超えて上信越道に入る。
上信越道に入って吉井ICを超えてからは山深くなるのがわかる。 下仁田ICをすぎたところで妙義山が前方に見える。 ちょうど日没の時刻と重なりきれいな山のシルエットを見ることができた。 松井田妙義ICで上信越道を降りる。
|
 |
道の駅「みょうぎ」
ナビn目的地は妙義ふれあいプラザ 妙義温泉「もみじの湯」を設定しておいた。 風呂による前にスーパーで夕食を買い出ししておかねばならない。 Aコープ松井田店によって総菜を買う。晩飯はエビといかの明太子スパとたこ酢である。地元の銘酒「妙義山」も買った。 そのあと「もみじの湯」へ行くが、残念ながらもう閉店となっていた。 インターネットで夜20時まで営業だと思っていたが新型コロナウイルスの対策もあり、19時までに短縮しているようである。 風呂に入りそこねたので、もう1件スーパーに立ち寄る。 ベイシアでもつ煮と2Lの水を買って、いざ道の駅みょうぎへ行く。 道の駅の駐車場は100台くらいは駐車可能であろうか? 車中泊と思われる車に2-3台停まっていた。 ただ、駐車場の入り口に、登山者の方は少し下の別駐車場に停めてくださいと案内があるので、道の駅から離れて下の駐車場へ移った。 トイレが遠くなったのが不便であるが、こちらも50台くらいは停められる広いスペースで街灯がない分、静かに寝られそうである。 翌日5:45に目覚ましをセットして22:30には就寝。(写真は翌日撮影)
|
 |
妙義神社山門からスタートを出発
4月11日(日)朝5:20起床。 目覚ましが鳴るより少し早く起きた。 冬用のシュラフに入って寝たのだが、それでも少し冷え込んでいた。 見ると朝早くから登山に来た人だろう。 他に3台ほど車が停まっていた。湯を沸かしてカップそばの朝食を食べる。 昼はいつものようにα米なのでこちらにも湯を注いでおく。 6:40支度を終えて出発。 道の駅まで階段を30段ほどあがりトイレをすませて車道を歩きだす。 7:00GPSとスマートフォンでYAMAPを起動させておく。 Stravaを起動させておくのを忘れたのでせっかくの月間獲得標高2000mのうち今回の分が記録漏れになってしまうのだが、それは下山してから気づくことでこのときはまだ認識していない。妙義神社の山門からスタートである。 多くの皆さんがYOUTUBEやYAMAPの投稿している教科書通りのコースどりである。入口の枝垂れ桜はもう散ってしまっていたが、あと2週間前であったらたいそうきれいであっただろう。
|
 |
妙義神社
妙義神社は妙義山信仰の中心となっている神社である。江戸時代は関東平野の北西に位置し、江戸の乾(戌亥)天門の鎮めとして、家運永久子孫繁昌を願って歴代の徳川将軍家に深く信仰された。銅鳥居をくぐって本殿までは165段の石段を登らなけらばならない。 大河ドラマ「義経記」でも鞍馬寺の設定でロケ地となった場所だという。 前を歩く二人組の登山者の方たちもハーネスとヘルメットの装備をつけている。最後に本殿で安全祈願のお参りをして、いよいよ神社の奥から登山開始である。 台風の影響で倒木があるということでう回路を経由して戻ってくる。 登山届を出す場所には「大の字・白雲山頂コース(上級者コース)」と記載がある。 緊張する。
|
 |
大の字
7:45、まず最初の鎖場が現れる。 これは難なく石を超えていくことができた。 ただこのあと大したことのないところでスマートフォンで場所を確認しようとしてつまずいてしまった。 右手の親指の根本に擦り傷ができ出血し始めた。あまり幸先のよいスタートだといえない。 ばんそうこうを出して応急措置をする。 8:15大の字に到着。 この大の字の標識に上がるためには鎖を登らなければならない。 手袋を出して鎖を登り、大の字の看板の下で休憩。 大の字から松井田方面の眺めがよい。 またこれから進む北西の方角にはすごい壁が切り立っているのがわかる。 さすがは岩峰の妙義山である。ここで日焼け止めを塗り、ヘルメットをかぶる。
|
 |
奥の院
8:38 辻に到着。 左に行けば中間道で第一見晴に行く。 右が奥の院経由で白雲山を目指すコースである。 「キケン・上級コース」と書かれている。 8:51 奥の院に到着。 ここまでの石段が相当険しい。 正面から登山者がひとり降りてきた。 この人は軽装なので奥の院までのハイカーであろう。 ルンぜに巨大はチョックストーンのはさまる奥の院は防空壕のような横穴となっておりそこに石仏が安置されている。石仏を拝むためには横の鉄梯子にあがるしかない。 鉄梯子の途中からお参りをさせてもらった。
|
 |
30mの岩壁・危険な鎖場
奥の院から出てどちらにいったらよいかわからなくなった。 登山道はどこにあるのだろうとまわりを見渡して驚いた奥の院の巨石の右手、北側の岩に鎖がぶら下がっている。 いきなり、この岩を登るのが登山道のようである。 ルンぜになっているのでホールドはあるが斜度60度。 これはほぼ垂直の壁に見える。 三連30mの鎖場を登り切り。 最後は左にトラバースしてほっと息をつく暇もなく、また岩壁にとりつく鎖をあがる。登り切ったところが見晴らしでようやく北西に噴煙をあげる浅間山の雄大な姿を見ることができた。
|
 |
ビビリ岩
9:16通称「メタボ岩」の通過となる。2枚の大岩の間を進むのだが案の定、幅が使えてしまい、途中から左手の岩の上にあがってしまうことになった。 9:20、YOUYUBE動画に皆さんが投稿している難所「ビビリ岩」の前に来た。 岩のとりつきは鎖のある壁だが、3mほどの壁をあがってからが今度は右がきりたった斜めの大岩を進むのでその高度感が半端ない。途中から岩を乗り越えていかなければいけないところがあり、そこがスリル満点である。できるだけホールドとスタンスを確実にとらえて鎖に頼らずに進みたいとは思ったがそれでもやはり鎖につかまって腕力であがらざるを得ないところがあった。 無事通過。
|
 |
背ビレ岩
9:37もうひとつの難所の背ビレ岩の前に来る。これも両側が切り立っていて迫力満点である。 風があったら思わず通過をためらう場所であろう。さきほどのビビリ岩よりは距離が短いようであるがやっぱり高度感はすごい。 2013年に槍ヶ岳から穂高岳へ縦走したがそのコースも両側が切り立った怖いところがあった。飛騨なきと呼ばれる難所も自分が歩いたときは、たまたまガスがあがっていてあまり回りが見えなかったので言われているほどの恐怖感はなかったのだが、今日のように天気がよいとなおさら高さをいやでも意識する。
|
 |
大覗き
9:44大覗き。 石のケルンの上に御嶽三社大神と記された仏像が安置されている。 道がどっちかわからず南側に行ったら断崖絶壁になっていた。 いやはやスリルがある。 結局は大覗きと書いてあるところを先に北側に進むのだがこれも断崖を降りるかのようにルートがつけられていた。 問題はここからだった。昭文社の山と高原地図の詳細版にはキレットと書いてある場所があるが、そこまで滑り台状30m鎖と書いてある。 滑り台状とあるので傾斜が緩やかかと思いきやとんでもなくやはり角度は60度以上あるだろう。 ほぼ垂直に降りていくイメージである。 滑り台状と書いているのはスタンスがないからである。どこに足を置いていいかわからず、結局鎖に頼りながら恐る恐る降りるというのでずいぶんと時間がかかってしまった。 キレットまで下り切ったときにはほっとした。 キレットをすぎてしばらくして振り替えると後続の単独の男性がやはり苦労しながらそこを降りているのが見えた。
|
 |
天狗岩
10:14天狗岩到着。 岸壁の上に登って展望を見る。山頂までもうすぐであるが少し休憩をとる。 南側に金鶏山のごつごつの岩峰が見える。ここから先は鎖場の難所はない。 やせた尾根をすすむ。 北へ木立の急斜面を登ればタルワキ沢への下り道との分岐がある。 分岐は少し広くなっており休憩しているご夫婦がいた。 なるほど相馬岳は妙義山の最高峰だからやはり登りたい人が多いが、このタルワキ沢コース往復であれば対して危険な鎖場を通過せずに山頂にたどり着けるようである。 あとは山頂に向けてひたすら樹林の中を登る。
|
 |
相馬岳山頂 バックは浅間山
10:54相馬岳山頂到着。 山頂には誰もいなかった。 セルフタイマーで写真を撮影する。 そうこうしているうちに中之岳方面から登山者があがってきた。相馬岳山頂は北側の眺めがよかった。 浅間山がきれいに見える。 南西には荒船山が扁平は高原状台地の姿を見せてくれていた。 荒船山の向こうには八ヶ岳と南アルプスも見えた。 南アルプスは当たり前であろうがまだまだ真っ白であった。山頂で持ってきたアルファ米を食べる。 あとから山頂に到着した軽登山靴の男性はホッキリまでは行くといっていた。 山頂から見る金洞山・中之岳方面はまるで北アルプスの槍ヶ岳から見る北鎌尾根のようにアルペン的な稜線でつながっておりすごい縦走路という感じであった。 茨尾根のピークがどうも展望はすばらしいようである。自分は残念であるが体力も技術のないのでここで断念するしかない。
|
 |
タルワキ沢コース分岐
11:41出発。山頂にいる皆さんに挨拶をして下山開始。 稜線上の下りを降りてすぐにタルワキ沢コースとの分岐に到着。 ここから南に急な沢沿いのルートをたどる。 沢沿いといっても水が流れているわけではない。 木の根につかまりながら降りる部分もあるが鎖場はほとんどないので、リュックに括り付けてあったストックを取り出して慎重の降りていく。途中2か所ほど鎖を使って降りるところもあるが登りに白雲山コースにあったような断崖はないので恐怖の場所はない。
|
 |
中間道第二見晴からの金鶏山
12:34タルワキ沢出合まで降りてきた。 妙義神社まで2.1㎞の標識がある。ここまでくればもう安心だ。 中間道は関東ふれあいの道のコース10 「さくらの里と石門のみち」になっている。独特な奇岩、怪石に目を見張り妙義山の中腹を抜けて妙義神社まで行く9.6㎞のコースである。 13:00第二見晴に到着。 ここでは鎖につかまって5mほどの傾斜を上がらなければならないが、そこからは金鶏山の景色がきれいに広がる。 写真をとりながら5分ほど休憩する。13:16第一見晴到着。ここまでくるとハイカーも多い。13:26妙義神社まで下山。関東ふれあいの道さくらの里と石門のみち、という記載がある。朝は登山者ばかりの神社であったが、午後になって観光客がたくさん神社を訪れていた。 道の駅経由でもとの登山者用駐車場まで下山。 出発してから6時間半の日本二百名山アタックが完了した。 時間が比較的早かったので関越道もさほどの渋滞はなく夕方には家に着くことができた。
|
 |
表妙義縦走路は岩稜帯が連続し、こぶ岩・鷹戻し・奥の院の鎖場等で多数の死亡・重傷等遭難が繰り返し起こっており、山と高原地図では難路の登山道(初級・中級・上級の分類の中で分類外の最上級)に分類、富岡市作成の妙義山登山まっぷでは上級登山道と紹介されている。この遭難の多さのため、2010年1月、群馬県・地元自治体・警察・消防・山岳会で妙義山系山岳遭難防止対策会議が発足し対策を話し合った。しかし登山を禁止し責任から免れたい行政と、登山を続けたい地元山岳会との間で対策法について意見が対立し、結局、鎖の増設と改良だけで放置する方向に結論は導かれてしまった。登山はあくまで自己責任である。この記録を見た方も安全には細心の注意を払って無理をせず登山を楽しんでもらいたいと思う。
(2021年4月記) |
|