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鳥甲山
鳥甲山

基本情報
1 山名 鳥甲山(とりかぶとやま)
標高 2,038m(二等三角点)
山域 上信越高原
都道府県 長野
位置 N36.50.21/ E138.35.08 
地図 昭文社 山と高原地図17「志賀高原・草津白根山・四阿山」
2万5千分の1地図「鳥甲山」
20万分の1地勢図「高田」
7 山岳区分 日本二百名山
登山記録
山歩No 2290-20028
登山日 2020年10月25日(日)
歩程 6時間50分
天候
形態 日帰り
アプローチ 関越道塩沢石打ICから国道353号ー405号で切明温泉
パーティー 1人

 2020年11月に九州遠征を決めたが、その前に10月、車で寒くなる前に標高の高い山に行って紅葉を見たいという気持ちが高まってきた。 金曜日に会社に行くことになったので土日で行ける範囲にしなければならない。 当初考えていた越後三山の中ノ岳は山中1泊が必要になるので断念する。 そこで、秘境の秋山郷から行く鳥甲山を考えた。 2009年に苗場山に登った時に赤湯温泉までは車で入ったが、今回はさらにそこから南に行く。 ヤマレコの記録を見ると少し前に登っている人が紅葉が美しい様子をアップしているので、自分も頑張って登ることにした。

谷川岳PA

 10月24日(土)午前中は支度をして、12時に家を出る。 この時間はやはり都内の地道が混雑して関越道に乗るまでが大変である。 13:40にやっと関越道にのった、そこからは大した渋滞もなく、谷川岳PAで休憩。 ここは関越トンネルのすぐ南に位置しており、上越国境の名物PAである。 以前は下り線のパーキングエリアにとんねる館があった。。関越トンネルの構造の紹介、防災設備体験、トンネルや関越自動車道についてのクイズなどのコーナーが設けられていた。入口正面、外壁には民営化されるまで「JHとんねる館」となっていたが、民営化後は「とんねる館」となっていた。2014年に閉鎖、解体された。 このPAで立ち寄るのは2014年依頼初めてなので、今回、リニューアルされて雰囲気が変わったと感じたのは、そのとんねる館がなくなってしまったことも関係あるだろう。 自由に汲める谷川の六年水という名水は健在で、汲んでいる人は何人もいた。 お茶やコーヒーにおすすめとの事。言い換えると、生では飲まないようがよいのだろうか? 自分はしっかりハイドレーションに満タンにしたので翌日の鳥甲山の給水はほぼこれであった。
 

中里の町

16:30塩沢石打ICを降りて国道353号を通り、山越えをし越後田沢へ入る。 スーパーAコープ中里店で夕食の買い物。あさりごはんとハンバーグの弁当を買って、酒は地元の銘酒「苗場山」生酒を買う。 ここから先国道292号線にはもう2-3件スーパーがあったが津南町から南ぬい逆巻温泉・秋山郷に向かって入るともはや買い物をするところはないので要注意である。 秋山郷に入ってから小赤沢温泉の前を通ったときは、かすかに2009年にここに来たことを思い出す町並みであった。 ナビは切明温泉、雄川閣を目的地にしていたので、国道405号をひたすら南に進む。 夕方、スーパーで買い物をしているときに振り始めた雨が偉く激しくなっている。 こんなことで本当に明日、山に登れるのだろうかなどと思った。、18:30切明温泉の駐車場に到着した。あたりは真っ暗であるがトイレを済ませて宿の方に、ムジナ平の場所を聞く。 10分くらい、奥志賀高原方面に進んだところにあるとききいてそこで今夜の仮眠をとることを決断する。 18:50ムジナ平到着。 先着のミニバンが1台駐車していた。 こちらの方も前夜車中泊のようである。買ってきた弁当を食べて、苗場山を飲んで21時就寝。
 

ムジナ平登山口

 10月25日(日)4:50起床。 まだ、空は真っ暗であるがそろそろ、朝早い登山者の方の車が2-3台ムジナ平の駐車場に入ってきた。昨夜は深夜まで雨がしとしと降っていたが、3:00くらいにトイレにたったときに北斗七星がきれいに見える絶好の夜空になっていたので、 今日の登山も天気がよいのだろうと決めつけて、さっそく駐車場で湯をわかしてカップそばの朝食をすする。何人かの先行者が鳥甲山登山道の道標のある山道へと入っていったあと、おそらく3パーティー目くらいだろうか、6:03自分も出発。 YAMAPに1週間前に投稿されていた単独行の方が5:50出発で13:00ごろに下山していたのでそれを参考にする。登り始めから落ち葉の中を進むルートである。途中で左手に踏み跡があったのでそれをたどって3分ほど進むとほっそりとして水場があった。

ナナカマドの紅葉

6:54正面の山が見える稜線にあがる。 ななかまどが紅葉してきれいである。  7:07に正面にちょっとしたピークが見えた。 そこまで上がってみると、その先に皆が写真でアップしている鎖場が見えた。 いわゆる万仏岩と呼ばれる難所である。 ちょっと前に私を追い抜いて行った若者2人が、ヘルメットを装着している。 自分はすでに、登山口を登り始めるところからヘルメットをつけている。 とはいっても登山用のヘルメットではなく自転車用のヘルメットであるが。 この自転車用のヘルメットは通気がよいのでむれなくて助かる。 


万仏岩

 万仏岩は右側からはしごで登るルートがあるが、実際には岩の左手からはしごを使わずに登った方がホールドやスタンスが多いというのは言われていることである。 年配の単独の方が通過していくところだった。 安定した格好で登っている。 8:06稜線に日が当たり始めた。 右前には本日下山する屋敷の方の集落が見えている。 

 

紅葉と霧氷のコントラスト

 8:34休憩して行動食に飴を食べる。 このあたりの標高は1600mほど、クマザサの葉に新雪がかぶさっている。 昨晩の雨は山頂付近では雪だったようである。 青空に霧氷がきれいに輝いている。 8:53に白嵓の頭を通過。 標高1944mである。ここから少し下りとなる。 軍手が雪で濡れてしまい、左手がかなり冷たくなってしまったので予備の軍手にはめかえる。40mくらいは下っただろうか。 濡れたクマザサをかき分けて再びやせた尾根にでる。


カミソリ刃

 9:40、尾根に出て少し水平に歩いたところがカミソリ刃だった。 ネットでたくさんの人が写真を上げていたが、確かに、幅が狭くてまた左右が切り立っていて、なかにはあかちゃんはいはいして進んだ人もいるというのがわかった。 滑らないように金具が張り巡らしてあってネットのようになっているのであるが、逆にこれに足がとらわれてしまわかにかと気になった。 自分もへっぴり腰で進んで途中からは鎖につかまってなんとかわたりきった。 わたる前に写真を撮影すればよかったのだが、渡り終えてから安心してやっとカメラを向ける気になった。 戸隠山の蟻の門渡りもこんな感じだったろうか? 距離はこっちのほうが短いだろう。 バランスの良い人なら2-3歩で渡りきってしまうかもしれない。

 

山頂直下の急登

 カミソリ刃を出て急な登りになる。 山頂直下というのはどこもこんなもんだろうか、とおもいつつ、 9:53山頂に向けて最後の鞍部から登りにかかる。 山頂付近にかかっていたガスも抜けて今日下山路にとる赤嵓の頭の方もよく見えている。 10:00に山頂との分岐に到着。 万仏岩の手前のピークで自分を抜かしていって岩場前でヘルメットをつけていた若い男性2名が苗場山方面の景色を楽しんでいた。 山頂からも景色はあるがこの分岐のほうが東側の展望は開けているとのことである。お二人は永野から来たそうで、そのうちの一人の方は冬の谷川岳をやろうと思っているということだった。 苗場山の向こうに平標山と思われる上越の山も見えていた。 ぜひ、頑張ってほしいものである。

鳥甲山山頂

赤嵓の頭方面に下山するお二人と別れて山頂へと向かう。 およそ5分のゆっくりとした登りで10:10、鳥甲山山頂に到着した。休憩時間を入れて約4時間だったが、当初計画を立てたときにみた昭文社の日本二百名山ガイドブックではコースタイムが5時間20分になっていたので、そこまではかからずに済んだ。 それでもYAMAPなどを見ていると3時間半くらいで登ってくる人が多いので自分はやっぱり登りはスローペースということが改めてわかる。 今年は特に、コロナ禍もあり、単独や2人程度のパーティーが多いのでおのずと団体や年配登山者が少なく記録で見るペースも早い人が多いようである。

苗場山の展望

山頂はあまり広くはないが、クマザサに覆われた広場の中に道標が1本立っていた。前に東京から来たというご夫婦ずれがいて、奥様が雪だるまをつくって山頂標識の上に置いていてくれたので、かわいらしい雪だるまと一緒に写真を撮影してもらった。 山頂からは南に岩菅山・横手山・草津白根山の方向の山々が見えた。 まだ、さほど雪がついているようではない。 奥志賀高原のある焼額山が一番近く南西に手に取るように見える。 西には北アルプスも見えた。 槍・穂はガスがかかっているようであったが後立山の白馬岳・雪倉岳と思われる稜線はよく見えた。 東は苗場山・佐武流山、苗場山の向こうには上越国境の山があるのがわかったが、どちらかというと日本海側は天気が良くない様子だった。 山頂では50分休憩。 朝、駐車場で湯を注いでおいたアルファ米の五目御飯を食べて沸かした湯でコーヒーをつくった。 10:58山頂出発。

赤嵓の頭

 歩き出して分岐を過ぎて、すぐ急傾斜の下りとなる。 山頂にあとからやってきた6人組の方に道を開ける。 右側が切れたったところを慎重に通過。 やがてルートはクマザサの中の快適な尾根歩きになる。 11:21、赤嵓の頭に到着。 道標は文字がはげ落ちていて読みづらくなっていた。道標の上にも少し雪が降り積もっているのが晩秋の山という感じである。 鳥甲山を振り返るとまださほど高度を下げていないことがわかった。 ここから1671mのピークまではゆっくりとくだっていく。

和山温泉を眺める断崖

 11:23鎖が渡された危険地帯を通過。 鎖の位置がずいぶん、谷側なのですでに雪の重みでもともとの登山道は谷の中に落ちてしまったのであろう。 のぞきこんだ谷底に和山温泉の民宿が見えた。 12:07、1671mのピークを少し過ぎたところで休憩。 この尾根は切り立っていてなかなか休憩できる広いスペースがない。 後ろのほうでは追い越してきた6人組たちも休憩しているのが見えた。正面に佐武流山が見える。 さあ、あの山はいつ行こうか。 結構アプローチが大変なのでこの山の行きづらい山のひとつではある。

屋敷登山口

 12:07いよいよ稜線と別れて樹林の中の下りに入る。下りは結構急傾斜が続くのと、下がぬかるんでいるので何度かしりもちをついてしまう。 12:51、広くなった場所で休憩していると先ほどの6人組がやってきた。 13:17堰堤に到着。 いよいよ屋敷登山口は近い。 13:35屋敷登山口に到着。 登山届のポストの前で今日初めてミニ三脚を出してセルフタイマーで写真を撮影する。首から60㎝のシュリンゲ(結局使わなかったが)をぶら下げてそこに鮎沢パーキングエリアのモンベルショップで買ったクマ鈴をぶら下げて歩いてきたので少々異様な恰好である。 今回は特に帽子をかぶらずに自転車用ヘルメットをつけているからなおさらである。


NTTドコモ電波塔

 屋敷登山口からは車道を歩いてもとのムジナ平登山口を目指す。 トンネルをくぐると少し広くなったところがあって5-6台は駐車できるスペースになっている。 複数の車できた方はこちらに一台をデポして最後の車道歩きがないようにしているようだが、ソロの登山者はだいたい1時間かけてこの車道を歩いて帰ることになる。自分も覚悟を決めてジョギングがてら15分ほど歩いた。 途中、NTTドコモのりっぱな中継タワーがあった。 こいつのおかげで、昨夜ムジナ平で車中泊をして当初予想を裏切ってすっと電波がばっちり入っていたわけである。 さすがNTTドコモである。 そのときに後ろから来た車がクラクションを鳴らして声をかけてくれた。 さきほどの6人組の男性2人が車に乗っていて、ムジナ平まで載せていってくれるという。 ありがたい。お礼を言って車に乗り込み、ムジナ平まで連れて行ってもらった。 おかげで駐車場には当初計画の15時半よりも1時間半早く到着。ゆっくり着替えて切明温泉で立ち寄り湯すべく出発した。

切明温泉雄川閣

 14:30切明温泉雄川閣へ到着。 紅葉狩りのドライブに来ている人で駐車場はいっぱいだった。着替えをもって受付で600円の入浴料を支払い、建物の中へ。 300年前の開湯の歴史を引き継ぎ昭和47年に開業した秋山郷の代名詞ともいえるこの宿は2019年にリニューアルしたようである。 今年コロナ禍でお客さんが減ってしまって大変なことである。古風のつくりの宿の階段を下りて地階に行って岩風呂を楽しませてもらう。 他にお客さんはいなかったのでゆっくりつかる。15:40に風呂をあがり、あとはひたすら関越道の塩沢石打ICを目指して車を走らせる。 関越道はGo to Travel影響もあり、大渋滞で練馬ICにたどり着いたのは21時を回っていた。 帰りの運転は疲れたが有意義な登山となった。


 念願の鳥甲山に登ることができて満足である。 紅葉の時期に行きたかった山なので、ちょうどよかったといえる。 ガイドブックには「全山がやせ尾根で急登の連続する長時間行程のハードな山」と書いてあったので自分ひとりで行けるかどうか不安であったが、シュリンゲやカラビナやヘルメットまで用意して、事故もなく無事に下山することができた。 切明温泉には河原温泉もあるし旅行で行ってみるのも悪くないなという思いがした。 今年2020年は春先自粛であったが後半で200名山を中心に盛り返してきた。 とはいえ、標高が2020mを超えている山は今シーズンはもうおしまいである。 内科の先生から持病の薬を常用するように言われたのが、出発の前日、いよいよ中高年登山者の年齢になってしまったが、それでも来年に向けてまた自信をつけてくれる登山となった。

(2020年11月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています