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守門岳
守門岳

基本情報
1 山名 守門岳(すもんだけ)
標高 1,537m (二等三角点)
山域 越後山脈
都道府県 新潟県
位置 N37.23.51/ E139.08.11 
地図 昭文社 山と高原地図15「越後三山・巻機山・守門岳」
2万5千分の1地図「守門岳」
20万分の1地勢図「新潟」
7 山岳区分 日本二百名山、甲信越百名山、新・花の百名山、越後百山
登山記録
山歩No 2240-12025
登山日 2012年6月30 日(土)
歩程 6時間30分
天候 晴れ
形態 日帰り
アプローチ 関越道小出ICより国道252号入広瀬
パーティー 2人

 積雪期の山が終わったら、高山植物が楽しめる山へ行こうと、山仲間のY.Tさんに誘われていた。 日本の会社は6月下旬に株主総会があり、それが終わったら羽を伸ばせるので、即座に同意。 もっとも6月30日(土)、7月1日(日)という日程は梅雨の真っ最中で天気がどうなるかわからない。 一応、会越国境の守門岳・浅草岳の2山をターゲットにして、天気次第でどちらかは割愛ということで計画書を作った。 ひさしぶりにY,Tさんとテントで宴会をするのも楽しみである。

谷川岳PA

6/30(土)朝4:35起床。 荷物は前の晩からだいたい準備ができていた。凍ったビールと保冷剤を入れたクーラーボックスを運ぶ。 5:17に出発。 荻窪までも道はすいていたので5:55に到着。 Y.Tさんが約束の6:10やってきた。1時間電車に乗ってここまできてもらった。  荷物を積んで早速、四面道から環八に入り6:25に関越道に乗る。 車はそこそこあったが渋滞もなく、谷川岳PAで7:53に休憩。 トイレをすませて、名水谷川の水を汲み、天気予報を聞いて出発。 小出ICを降りた後、9:00コンビニに立ち寄り、氷と夜のつまみ、昼食の弁当などを買う。 そこから国道252号を進む。この道は本来六十里越えを経て会津若松まで続くルートなのだが、残念ながら昨年の集中豪雨の影響で道は通行止めとなって会津まではいけないらしい。 

猿倉橋駐車場
 
 途中、入広瀬の寿和の湯に立ち寄り、その村営浴場が夜9時まで営業していることを確認する。 よかった、これなら18時までに下山しないと風呂に入れないという事態を回避できる。 そこで、当初計画の大原スキー場からピストンするコースではなく、二口から守門岳の主峰の袴岳を経て大岳をまわって保久礼小屋へ下りる周遊コースを登ろうと決める。290号に入り、栃尾方面に進む。  ナビの指示通りに猿倉橋まで行く。 途中、確かに、道の路肩が崩壊しており、通行止めの標識がでていたが、電話で事前に問い合わした民宿小西屋のご主人が教えてくれたように、一般車ならば通行に支障があるということはない。駐車場にはたくさんの車が停まっていたが、幸い朝早い登山者が帰ったあとなのか一箇所あいているスペースがあったのでそこに車を入れて準備をする。 駐車場の横にはトイレもある。橋の奥にも駐車スペースはあったので全部で30台くらいは停められそうである。  登山口のポストに登山届けを提出して、10:25歩き出し。 ストックを忘れたことに気がついていったん車に引き返して虫除けスプレーを腕に塗布して再び出発。

護人清水

 登りだしてすぐにぶなの樹林でそこそこに傾斜のあるルートとなる。途中ぶら下がっている鐘を鳴らして景気づけをする。  林の中の道はよく踏まれており明瞭だ。  10:50、護人清水で休憩。 冷たい水をひしゃくですくって飲む。 顔も洗って癒される。ただインターネット情報によるとこの水場は秋には枯水してしまうようである。 10:55出発。新緑の美しい斜面を20分ほど登るといったん平坦なところに出た。 ここは谷内平と呼ばれているところである。 湿原のようなところもあったので時期によっては池になるのだろうか。 892m地点に三角点があるがそこを越えると次第に道は尾根をたどるようになり、左側に滝が見えるようになって来る。中の高地沢にかかる無名滝か? 突然、先行するY.Tさんの前を野うさぎが現れて走っていったので、こちらもびっくりした。 登山者が近づいていることを直前まで認識していなかったのだろうか? 

中間点の尾根上

 11:45休憩。 水を飲む。  このあたりで、もうすでにペットボトルの500mlのお茶が半分以上なくなってしまった。 さすがに日差しが強く暑いので相当に汗が出る。 登山口前で気温がすでに26度あった。 明日から天気が崩れるという予報なので、特に今日は気温が高いのだろう。 11:50出発。さらに尾根をあがると道は大きく左に曲がりこんでいくルートになり左側の滝だけでなく、右手にも大きな沢が見えるようになってきた。こちらの沢がオカバミ沢で 青雲岳から二口まで注ぐ沢となっている。 ここに、「中間点」の標識と5/10というマークが書かれていた。標高おおよそ1000mの地点である。 しばらく、眺めのいい尾根筋を通っていたが、再び、ぶなの樹林の中に入ってきた。 標識があり「ここから長いのぼり、マイペースで行こう。 大岳分岐まで50分、青雲岳まで1時間15分」とある。実際に樹林の中の登りは道は悪くないが、ひたすらに登るルートできついコースだった。 南斜面を登る大原スキー場からの直登ルートは、きっと太陽に照らされて暑いだろうということで忌避したわけだが、この二口コースもずいぶんと暑かった。登山道の上に座り込んで12:28休憩。。 

大岳との分岐

大岳分岐の高度が1420mなので、まだ先は長い。 せめて1300mのところまでがんばろうと励ましあって登っていった。 腕時計の高度計が1300mになったのでたまらず休んでまた水を飲む。 12:35出発。 13:00にまた休む。 水だけ飲んで13:03出発。 とにかくのどがかわいて仕方がない。傾斜が次第に緩やかになってきているのでもうすぐ分岐に違いない。このころになると下山する人とのすれ違いが多くなってきた。 時間的にわれわれは2-3時間スタートが遅いのだろう。 聞くと、周遊コースで大岳から回ってきた人たちもいた。ヒメサユリはありましたか?と質問すると、「あら気がつかなかったわ」、とそっけない返事。 思わずテンションが下がってしまった。登りはまだ続いたがさらに低くなってきた潅木の中を登ると、「よくがんばった。分岐まであと5分」という標識が出た。13:17大岳の分岐に到着。 そこから大岳までは一気に下って登るすばらしい稜線の景観を見せていた。分岐の直下には雪渓もあった。 13:22青雲岳に向けて出発。

青雲岳から袴岳への稜線

 分岐からは切り立って左側がすっぽり落ちたような登山道を通る。 足下に雪でえぐられたような大きな沢が見え、その沢は北東に伸びる硫黄沢へと続いている。 大岳、袴岳の間の一帯数百メートルに渡る大雪庇は日本一といわれているので、雪の造形でこのような見事な谷が広がるのだろう。袴岳から袴腰にいたる稜線はどーんと構えていて、その下にはカールのような曲線の谷が見える。雪が運んだ岩だろうかミニサイズのモレーンのような地形もある。わずか1500mほどの標高の山で穂高のようなダイナミックな山の形が見えるところなど、さすがは越後の豪雪地帯である。青雲岳の山頂には木道で組まれた展望台があるが早く袴岳によって昼食にしたいわれわれはここでは休憩せずに、そのまま直進。鐘があったので、それだけは一応鳴らしていく。 袴岳へと向かう斜面を最後の登りと踏ん張ってあがっていく。 

守門岳(袴岳)山頂

  13:50袴岳の山頂(1537.2m)に到着。 山頂は眺めのいい広場になっており、二等三角点があった。5名ほどの方が休んでいた。早速山頂で弁当を開いて食べる。 カツどん弁当は傷んでいないか心配だったが、23時までの賞味期限を見て大丈夫だと確信した。 山頂には、三角点と山名盤があった。 飯豊連峰はまだかなり雪をかぶっていた。明日登る予定の浅草岳は、すぐ手に取る距離に見えた。  山頂に居た単独の方にシャッターを押してもらい14:20に下山開始。来るときに通過した青雲岳で写真を撮る。14:45に大岳と二口コースの分岐に到着。 そこで3人組が雪渓でシナノアオイを見つけて写真を撮っていたので自分たちも撮影。 分岐から網張の鞍部まで一気に下る。 高度計の標高で1285mまで下がったのでおよそ150mを登りかえすことになる。登る途中は、袴岳側にはなかったヒメサユリの群落があったので写真を撮りながらの登りとなる。 例によって給水の名目で、雪渓の上の風の来る地点で座って小休止。 Y.Tさんはここから見る袴岳の姿に感動して、つくづく二百名山に選ばれるにふさわしい山だという。 まったく同感。 

ヒメサユリ群落-大岳山頂

 大岳の山頂に15:37到着。 山頂には巣守神社の祠があり守門大明神が祭られている。そこは潅木に囲まれておりあまり展望がない。 展望を楽しむなら少し東側の斜面のほうがいいだろう。 ここから見る袴岳・烏帽子山の景観はすばらしい。 水を飲んで、ここにもある鐘を鳴らして15:47出発。ここから西に伸びる尾根沿いに、進む。 途中、不動平という平坦なところがあって石の不動様の像が置かれていた。 安全下山を願っておまいりをする。ここからしばらく急な坂を下るが、やがて、丸太を使って整備された道が現れた。二口コースと比べてこちら側が登りやすいとされるのもこのように道が手入れされているからかもしれない。ご夫婦連れの登山客を追い抜いてしばらく行くと、キビタキ小屋と保久礼の分岐の表示が出現。キビタキ小屋はあえて寄るつもりはなかったが、キビタキの水場には寄りたかったので、どちらの道に行くか迷っていたら、後ろから先ほどのご夫婦が来て、保久礼方面に進んでも水場には寄れますと教えてくれたので、直進することにした。

保久礼小屋

 16:24にキビタキの水場に到着。 この水はとても冷たくまた甘くておいしい。 夜テントの中で焼酎を割る水に使おうと空になったペットボトルに満タンにして持って帰ることにした。16:30出発。 17:10に保久礼小屋に到着。 2階建てになっておりさすがに雪の深い地域の避難小屋だということを感じた。 ここにも水場がありのどを潤す。 ここからはもう林道が見えた。 自分たちは二口の駐車場に下山するので林道は通らず、道標に従い登山道を降りる。 あと40分という時間の予想なのでやはり到着は18時前ということになろうか。 湧水のせいで少しぬかるんだ登山道をくだりきると、二分キャンプ場の跡地の駐車場。 ここにも10台程度車が停められることになっているが一台もなかった。 Y.Tさんのカメラのシャッターの調子が悪いので、明日は自分のカメラに全面的に頼られると告げられ責任重大。車道をテクテクと二口の駐車場まで歩いている途中で、後ろから車が来た。 乗っていたのは先ほどのご夫婦。 駐車場まで乗せて言ってくれるということでお言葉に甘えて、後部座席へ。 おかげて15分ほど時間短縮できた。出発点の駐車場まで戻ってみると車は2台だけだった。 とりあえず風呂にすぐ入れるように着替えだけ出して17:33車を発進。  

寿和の湯

 寿和の湯はナビに登録しておいたので、車で15分ほど。 ただし、近いと思って通った県道が、路肩が崩落していて通行止めに。 しかし、工事箇所のポールをすれすれでわたって通過することができた。料金700円を払って寿和の湯へ。 ここは通称ドリームタウンという村営の施設でプールや露天風呂も別棟であるらしい。 露天風呂は湯の温度が上がらないため休業中であったので内湯に入る。 入り口で下駄箱のキーを渡して引き換えにロッカールームも鍵をもらう。 中に入り、洗い場で「からだ」「あたま」大きな字で書いてある石鹸・シャンプーでごしごしあらって、それから温泉につかる。茶褐色の湯で 寝湯も気泡が出ており体を休めるにいい感じ。打たせ湯で肩のマッサージ代わりに水を当てて、18:30に上がる。 Y.T氏が入り口で待っていてくれた。 

浅草山荘下駐車場(キャンプ地)

 お湯につかって気分もさっぱり。 あとはテント場に移動するだけだ。ナビに浅草山荘を入力して出発。 途中、大白河の駅で2両編成の只見線の電車が停まっているのに感激し、たくさんの雪よけシェルターのついた曲がりくねった県道385号を走り18:50に浅草山荘到着。
インターネット情報では山荘に隣接してキャンプ場があることになっているが、高台の山荘の前のキャビンはもう使っていない様子。 結局山荘の下の大きな駐車場まで下りて、他に2-3台の登山者と思われる車がやっているようにアスファルトの上にテントを張る。 テントを設営したあとは、キャンプテーブルを出して、簡易タープを張って夕食の支度を開始。蚊取り線香をテーブルの下において EPIに火をつけて、湯を沸かしながら早速クーラーボックスを開けてビールで乾杯。枝豆やサラダ・浅漬け・ふじっこのお豆さんなどをつまみに、ビール2本づつあけて、名焼酎「佐藤」に移る。アルファ米は2人で1つをゆでればいいなということになり、親子丼の元も2つ持ってきたが1つだけを暖める。 21時半に片付けて、タープをしまい。 就寝。夜中に一度トイレに行ったが、あとは死んだように眠った。

 守門岳は、豪雪地帯にあることもあって山スキーで有名なところである。 いつか残雪期に板を持ってくるのではないか思っていたが、無雪期に登ることになった。 登るまで、どんな山なのか想像もつかなかったが、この地方にしか咲かないヒメサユリがこのようにたくさん咲いていたのには感激した。 山もこの豪快な山容は日本の名山と呼ぶにふさわしいだろう。いつか、日本一の大雪庇を見るために再び訪問したい山である。 
(2012年7月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています