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二王子岳
二王子岳

基本情報
1 山名 二王子岳(にのうじだけ)
標高 1420m(一等三角点)
山域 飯豊連峰
都道府県 新潟
位置 N37.53.59/ E139.29.57 
地図 昭文社 山と高原地図10「飯豊山・杁差岳・二王子岳」
2万5千分の1地図「二王子岳」
20万分の1地勢図「新潟」
7 山岳区分 日本二百名山
登山記録
山歩No 2220-19036
登山日 2019年12月1日(日)
歩程 6時間30分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 日本海北陸自動車道新発田ICから県道202号
パーティー 1人

 11月の勤労感謝の日は天気が悪かった。 そのときに登ることを計画した山が新潟県の二王子岳であった。 新潟県だけは曇りのち晴れとという天気予報で行くか行かないか迷ったが、結局見送りとした。 そのときにヤマレコなどの記録を見るともう雪が少しずつ登山道についてきているようである。 


新発田スーパーウオロク

11月30日(土)15時に家を出る。 やはり土曜日の午後のせいか、それとも月末日だからか都内の一般道は渋滞している。 関越自動車道に乗ったときはすでに17時近くなっていた。 関越道に乗ってからは車はさほど混んでいない。 18時に上里SAで休憩して晩飯前のおやつという感じで「こむぎっちワッフル」を買って食べる。再び車を走らせる。 関越トンネルを越えて水上から湯沢側に行くと路肩に雪が積もった形跡があり、凍結防止剤が散布されているのか、窓ガラスが曇るようになってきた。 関越道の終点である長岡ジャンクションを越えて栄PAで再び休憩。 気温は7度と結構冷え込みが激しくなっている。日本海北陸道を走り21:30に聖籠新発田インターチェンジで高速を降りる。 ここで、スーパーを探して夜食を買う。 地元のウオロクというスーパーで、割引となったローストビーフや明太子の細巻きを買う。 日本酒もせっかくなので新発田の酒、菊水を買う。 菊水酒造は1972年、日本で初めて缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」の商品化に成功。会社設立50周年を機に日本酒の文化や楽しみ方の研究開発を行う「菊水日本酒文化研究所」を設立したというすごい会社である。 
 

二王子神社駐車場

 新発田からは行く先を、二王子神社に設定して進む。 二王子神社の手前に駐車場があるというので今夜はそこで車中泊である。 途中までは人家の中を進むが最後神社までの登り道は1.3車線の林道のようになった。 見ると道の脇にはうっすらと雪が積もっている。 冬タイヤを履いていないしチェーンをもってきてもいないので少々不安であったが、登山口の神社は標高300mほどなのでまださほど凍結するような状態にはなっていないだろうと踏んで進む。 夜22時20分、二王子神社に到着。つまみをかじりながら菊水をいただき23時に就寝。 
(写真は翌朝撮影のもの)


二王子神社

12月1日(日)朝5:30起床。 車の中で明け方寒いかと思ったが、そうでもなかった。 夜明けがそろそろか、次第に空が明るくなってきている。 車の外を見ると、自分の車以外に2台駐車していた。 隣の1台はすでに出発したのか人の気配すらない。(あとでヤマレコを見るとこの日、4時前に出発してご来光を見ようと暗い中で登っていった方の記録があった。)神社の前ににあるトイレは水道が敷かれているようである。 EPIに火をつけて朝食を作るのもおっくうだったので、テルモスに残っていたぬるい湯でミニカップラーメンをつくり昨夜買ってあったおにぎりと一緒に食べる。6:40出発。 そのころには朝早い登山客が次々と車で乗り付けて、10台ほど停められる神社の前はほぼ満車に近い状態になっていた。 まずは安全登山を期するために神社でお参り。  
 

登山口

登山口にはベンチの横に大きな地図があり、登山届を提出するポストがある。コースタイムは4時間と記載されている。登山口から山頂まで標高差が1100mあるので4時間というのはまあ妥当であろう。 この前の週にヤマレコの記録を上げていた人は登り2時間半、下り2時間という驚異的なスピードであったが、いったいどうしてそのようなことができるのだろうか? 昨晩は暗くて気が付かなかったが、神社の前からすでに一面の雪である。 ただし、積雪量は5㎝くらいだろうか、歩くのに支障はない。 登山口からは最初は緩やかな樹林の中の登りである。 

樹林の中の雪道

7:07少し開けた場所に来た。 「一合目」と書かれた札が木に取り付けてある。 ここまで歩きだして20分強。 気温が高くないので、汗をかくことはない。 整備された階段を上る。樹林の中であるが道はほぼはっきりしている。  地図では神子石という標識があるのだがどこのことかはっきりしなかった。 7:33岩の間に樋がさしてあるところがあった。 ここから水が少し流れている。 地図にある水場というのはここだろう。 前日の12月6日金曜日は日本海側は雨が降ったので、その影響で山は雪になったと思われる。 やがて傾斜が急になってくる。 後ろから来た3人組が樹林の中で自分を抜かしていった。リュックにはワカンが括り付けられている。 確かに、このあたりの積雪量は20㎝くらいにまで達していたので山頂のあたりはもっと雪が深いかもしれない。 最近は雪山ではスノーシューがメジャーになってきたが、こうして新潟の地元の方は昔懐かし登山道具のワカンをしっかり愛用してくれている。 
 

一王子避難小屋

 7:51急傾斜を登り切ったところが一王子避難小屋のある三合目であった。 6人くらいの登山者が休憩していた。 年配の男性は新発田の方で、この登山道のメンテナンスをやってくれている人だとご自身で話してくれた。後からやってきた若い登山者と挨拶をしている。やはりこの山は地元の皆さんに愛されている山なのである。一王子避難小屋は少し水場までは下っていく必要があるようだが、道標には水場まで1分と記載されている。 もし土日かけて山に来るのであればこの小屋で泊まるのも悪くないかもしれない。


5合目定高山

 ここから次第に傾斜が急になる。 8:00登り切ったところが五合目の定高山だった。 標高は994.4m。 標高1000mには少し届かないがここから雪が深そうなのでスパッツをつける。 さきほどの年配の男性がメジャーで積雪量を測っていた。 この場所でちょうど30㎝だということである。 定高山には電波塔のような電柱があった。これを見ると、2mくらいの積雪はゆうにくるようである。 定高山から先はもう樹林も雪に覆われて、樹氷の中の雪中登山という趣になってきた。 

朝日連峰と鳥海山の眺め

 6合目という標識は特にないのだが、5合目の定高山を出て9:17突如、左手の視界が開けた。 そこから真っ白に雪化粧をした朝日連峰が見えた、その奥に真っ白にそびえているのが鳥海山であろう。 今日は空が澄んでいて素晴らしい眺望が楽しめそうである。 さらにそこから5分ほど進むとようやく二王子岳の山頂を思われる峰が見えた。 (実際には山頂ではなく、9合目の奥宮のある峰だったようだが) 7合目の油こぼしは、このルートで一番の難所らしい。たしかに夏道が出ているときの写真を見ると傾斜も険しいうえに足場がくぼみのようになっていてステップを探すのが難しそうである。 ただ、私が登るこの時は、完全にルートが雪の中にうまっており、ただの雪の壁に見えた。 足を置く場所に苦労するのは同じである。 油こぼしを経て8合目は雪原となっている。 地図の上では、8合目に三王子神社があることになっているが場所をはっきりと確認できなかった。 必ずしも夏道に忠実でないところにトレースがついていたりするのでこの三王子神社は見落としてしまったのであろう。ここでワカンをつけた2人組の方とすれ違う。 トレースをつけてくれてありがとうございます。  

二王子岳山頂

10:31、9合目の二王子神社奥の院に到着。 奥の院といっても小さな石の祠があるだけである。隣には背の高い避雷針がある。 この9合目までくるともう目と鼻の先に山頂のオレンジ色のかまぼこ型の二王子避難小屋が見える。 山頂には2-3名休憩している人が見える。 避難小屋の横には、二王子岳名物の青春の鐘がある。 もっともこの時期は鐘は取り外されている。 ネットで調べると、11月の上旬に取り外しが行われているようである。 山頂到着10:40。 休憩混みでちょうど4時間なのでまあまあというところか。 飯豊連峰の前衛峰として素晴らしい景色が広がっていた。 南側の飯豊本山や御西山も大日岳も真っ白であるが、この二王子岳の山頂から見ごたえがあるのが北股岳と昨年登った杁差岳であった。 杁差小屋に至る手前にあった鉾立山も急峻な峰がきれいに見えた。山頂の三角点も埋まっていたが、先に山頂に着いた方が掘り出してくれた。
 

二王子避難小屋

 二王子の避難小屋の中に入ってみる。 山頂はさすがに寒くてそんなに長い時間もいられず、皆さん写真を撮り終わったら小屋の中でコンロで湯を沸かしながら昼食としている。 貧乏性の自分は、山頂でエナジージェルと昨晩ウオロクで買ったパンをかじって昼食を済ませてしまったので、温かい飲み物とは縁がなかったが、地元の方と話すと、今日の天気は最高だとのこと。 自分の車が横浜ナンバーだったので、途中で登ってくる顔見知りの人どうしが、「横浜から来てる人もいるみたいだよ」とうわさをしていたらしいが、飯豊の眺望にこんなに恵まれるのは珍しいと地元の人が言ったくれたことがとてもうれしかった。 

新雪の尾根を下る

 下りは、新雪の上を飛ぶようにかけることができた。 夏道だったら石がごろごろして膝を痛めてしまいそうなところも、雪がクッションになって自重を吸収してくれて降りることができた。 グリセードのように滑ってみたり、新雪ならでは楽しみを久しぶりに味わった。 7-8年前はかなりバックカントリースキーに凝って、いくつかのに百名山や三百名山はショートスキーを担いで登ったりした時期があったのでそれを懐かしむかのように40㎝の積雪を駆け下りた。 
 

関越道から見る越後三山

 11:54、6合目あたりのところまで来ると隣の尾根がスキー場であることがわかった。 二王子二ノックススキー場と呼ぶようである。 12:18五合目の定高山に到着。 このあたりで、だいたい登りの登山客とはすれ違いは終わった。 13:23、無事に駐車場まで下山する。 二王子神社に下山のお礼にお参りをする。 関越自動車道では傾いた日差しを浴びた越後三山がきれいに見えた。16:30、関越トンネルの前で日没。 さすがに、片道300㎞近い運転はこたえたがそれにふさわしい、よい山旅となった。

 杁差岳もそうであったが、飯豊の山は本当に地元の人がその山を楽しんでいる。 自分も最近、毎週、近くの川の堤防をジョギングするのであるが、それと同じような感覚で毎週山に登る。だから登山道を大事に整備してくれている。 故郷の山というのは本当によいものだとつくづく思った。 また自分も故郷の山に登りたくなるような、そんなことを感じさせてくれる二王子岳であった。

(2019年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています