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小夕張岳
小夕張岳

基本情報
1 山名 小夕張岳(しょうゆうばりだけ)
標高 1234m 
山域 夕張山地
都道府県 北海道
位置 N43.0635/ E142.16.59 
地図
2万5千分の1地図「夕張岳」
20万分の1地勢図「夕張岳」
7 山岳区分 日本二百名山(敗退)
登山記録
山歩No 2079-23038
登山日 2022年7月10日(日)
歩程 10時間
天候
形態 テント泊日帰り
アプローチ JR金山駅から金山林道
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/gzw2rXUySPY

夕張岳は『花の名山』として知られ、初夏から夏にかけての花のシーズンには全国から多くの登山者が訪れる。この山独自の固有種の他、北海道の山岳にあるほぼ全ての高山植物が見られるとされ、田中澄江により花の百名山、及び新・花の百名山に選定されている。また日本二百名山、北海道百名山、一等三角点百名山にも選定されている。かつてアイヌによりこの山に魔物が棲む部落がある伝えられ、「カムイシリ」(神の山)として恐れられていた。この山はたくさんの人が登ってとてもよかったというので楽しみにしていたが、2023年は豪雨により鹿島林道が林道ゲートから2.4km地点にて大規模崩落が発生し、車両通行が不可能となって復旧できないまま夏を迎えた。 歩行も禁止されている。 従い、山頂アタックをするには、東側の金山コースが唯一の登山ルートとなったが、こちらはヤブが濃いうえに往復10時間以上もかかるようである。 果たして行けるのだろうかと不安を抱きつつも遠征の中では計画に入れた。

金山林道

 2023年7月8日土曜日。北海道遠征第五だめである芦別岳を無事に下山し夕方テント場である山部自然公園太陽の里でキャンプをした。芦別岳の登山は累積標高が1700m行動時間が11時間という厳しい登山であった。テントに帰りついたときは日没時刻が近づいており翌日の用意もそこそこに寝床に入った。2023年7月9日日曜日朝4時起床。キャンプ場のテントを撤収し車でそこから30分程離れたかなやま湖へ向かって南に走ってゆく。今日の夕張岳の登山登山コースは金山林道5キロ程度西に入ったところにある金山登山口である。 5時前にキャンプ場を出発し金山校を経由して林道のゲートに到着した。林道の入り口には鹿よけの作画設置されていた。車を降りて策を開けそして通過したのちに再び作を閉めて林道奥へと進んでいく。林道は舗装はされていないものの石が転がっていて走りにくいというほどではなかった。ナビが入らないのでgoogleで位置情報を確かめながら登山口へ向かって車を進めてゆく。

金山登山口

5時40分登山口到着。 標高は388m。 駐車場には止まっている車は一台もなかった。 登山口の入山届を見ると今日は誰も入っていない。前日は一人いたがそれより2-3日はも誰も入っておらず結構このコースがマイナーなコースであることを改めて知らされる。 6時21分、金山登山口出発。 すぐに熊スプレーを忘れたことに気が付き車に引き返す。 登山口から歩き出しは普通の樹林の中の登りとなる。 30分程進んだところでルート上で熊の糞を発見する。やはりここもヒグマが生息している場所のようである。さらにその先には誰かが熊スプレーのストッパーを落としているのを拾った。まさかここで熊に噴射した優ということではないだろう。そのまま樹林の中を進んでいくやがてクマザサの群生地になりジグザグに切りながら標高を上げていく。

樹林帯

 8時22分、少しルートは登山道らしくなってきた。 標高が881mの地点に到着する。 そうこうしているうちに一人登山者の方が自分を追い越して行った。 少し話をしたら東京の方だということだった。昨日知らずに夕張川の登山口に行ってしまい林道が通行できないことで今日この金山コースから再チャレンジするということである。この方が前に行ったことで少し気分が楽になった。ここからルートが上り下りが激しくなる。


古い道標

 9:11分ルートの途中に古ぼけた標識が現れた。山頂まで5キロと書かれている標識のようであったがはっきりとした字は読みとれない。ここからもルートは踏み跡程度で時折探さないとわからないような場所も多数あった。太陽が当たる場所で突如笹が生い茂ったルートが消えているところがありヤブをこぎながら進んで行くような場面もあった。

小夕張岳

 10:02 小夕張岳到着。 ここは眺めがよかった。 YAMAPで登った人の記録によると、ここから藪漕ぎが激しいようである。 とはいえ、ここまでも藪漕ぎが厳しかった気がする。 小夕張岳の山頂で行動食にジェルとカロリーメイトで補給をする。 小夕張岳を出ると少し下りとなった。 ここからは稜線に沿ってアップダウンがある。 今シーズンに入ったから歩いた人がピンクテープをつけてくれているようなのでそれを目印に進む。11時、ルートの先に熊の糞があるのがわかった。ホイッスルを拭きながら熊と遭遇しないように進む。少し道が分かりにくいところがあり踏み跡が消えていたので、引き返して別のルートに入る。ピンクテープを辿りながらルートを失わないように進む。
 

 1310m地点

 12:06 標高1310m。 踏み跡があるのはわかるのだが、藪漕ぎがひどくてそれ以上先に進めない。 ピッケルでかき分けるが、笹が戻ってくる。 反動が強すぎて100m進むのに15分以上かかってしまった。 ふと下を見ると、景色は悪くない。 後からガサゴソと藪を分ける音が聞こえてきた。 あわやヒグマかと一瞬ビビったが、すぐにクマ鈴の音がしたのであとから追いついた登山者の方だとわかった。 半袖半ズボンの勇ましいいでたちの若い方である。 その方が先に進んで道を探してくれた。 道はあるということだが、このヤブはまだ相当先まで続いているようである。 さらに、新しいクマの糞も発見した。 一緒になったこの登山者の方はこのまま進んでも苦痛なだけなので撤退すると言って下りて行った。 

決断の時

 自分もそろそろ12時を過ぎているので、このまま進んでも埒が明かないと感じ始めた。ここからでも標高差を考えるとまともに進んで一時間であるが、この藪で相当に時間を取られることを考えると、山頂に着くのが14時近くなる。14時から下山を始めたら日没までに間に合わない。 残念であるが諦めるしかないというのを結論として出した。 半袖半ズボンの方を追いかけるように、15分後ぐらいに自分も踵を返してヤブの中を引き返す。昼食も取らずに歩いてきたのでかなり疲労していることを感じた。。正面に小夕張岳の山頂が見えた

下山の針葉樹帯

 うっそうとしてみるからクマがいそうな林の中を下りる。 朝自分を追い抜いていった東京から来た若い男性も自分に追いついて起こしていった。聞くと山頂にはたどり着けたそうである。やはり元気があって速度の速い方は山頂まで行くことが出来たのである。山頂まで行けなかったのはやはり自分の実力のなさだと諦めるしかない前にも先にも進めなかった場所よりもまだしばらくは薮蚊続いたということなので結局自分には無理だったということだろう。ヤマップのアドレスを教えてもらい後で記録を交換しようということにした。

下山-ハイランド富良野

 16:42 金山登山口に下山。 なんとか17時よりも前に降りることができた。当然ながら駐車場には自分の車しか残っていなかった。 まだ日没までの時間があるので、慎重に金山林道を運転して、金山湖の方に進む。 鹿よけのゲートを開けて、またゲートを閉めて、人里へと戻っていく。 金山湖からは、今度は北へ進むことになる。 富良野町でハイランド富良野に立ち寄り、日帰り入浴をする。 2日前にここを通ったときは時間が遅かったので通過した場所である。 2013年にこのハイランド富良野で入浴したことがある。内湯から十勝連峰が眺められるのであるが、ガラスに山の輪郭が描いてあった。 ただし自分がその時入ったときはもう日没になっており山が見えなかった。 今回は窓から実際の山を見ることができた。 明日登るオプタテシケ山が見えたことがうれしかった。

 

 夕張岳山頂にたどり着くことができなかった。 日本二百名山を終わらせるためには、もう一度この山に来なければならない。 少し先のことになるだろう。 夕張岳に西から登る鹿島林道が復旧してくれることを願うしかない。もう一度この金山林道から10時間かけてヤブの中をアタックするというのは正直考えられなかった。 夕張岳は新千歳空港からもさほど遠くないので、 きっと来れると確信して今回は北海道遠征から帰ることにした。 やはり魔物が住む山だったということになる。 天気が良かっただけに撤退は残念であったが諦めることにした。
(2023年11月記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています