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ニペソツ山
ニペソツ山

基本情報
1 山名 ニペソツ山(にぺそつやま)
標高 2013m (ニ等三角点)
山域 石狩山脈
都道府県 北海道
位置 N43.27.21/ E143.01.55 
地図 昭文社 山と高原地図3「大雪山・十勝岳・幌尻岳」
2万5千分の1地図「ニペソツ山」
20万分の1地勢図「北見」
7 山岳区分 日本二百名山・北海道百名山
登山記録
山歩No 2030-07024
登山日 2007年7月26 日(木)
歩程 10時間40分
天候 晴のち曇り
形態 テント泊日帰りピストン
アプローチ 国道237号十勝三股から十六の沢林道
パーティー 1人


 2007年の北海道ツアーも大詰めを迎えてきた。 前日の25日は念願だった幌尻岳に単独登頂し、七つ沼にテントを張って星を眺めるなんて贅沢なことをしてしまった。 今回は、テントと車を活用しての旅だが麓のキャンプ場に宿泊し、そして軽い装備で頂上をアタックするというスタイルなので、幌尻岳の縦走は少し特殊なケースだったろう。 標高差1800mを渡渉も含めて1泊2日縦走したので相当足に疲労がたまっていたがめったにこれない7月の北海道でどうしても登りたい山がここだった。 それがニペソツ山である。 深田久弥が実際に登っていないという理由で選にもれた道内屈指の名峰。歩程10時間40分に耐えられるかどうか気にはなったが、この機会にトライすることにした。

夜の国道237号

 7月25日(水)に幌尻岳を下山してからが大変だった。 何しろ林道歩きが長いので、結局平取の国道まで降りてきたときには午後3時を回っていた。 自分の中に北海道の地形が今ひとつ頭に入っていなかった部分もあるが幌尻登山口の平取町からニペソツ登山口の十勝三股までおよそ210kmの距離がある。 車でも4時間以上かかる。 途中で給油や食料の買出しをしていたら、20時に就寝できるのだろうか? でも進むしかない。 そろそろ影が長くなった国道237号線を北に進む。 車は石勝樹海ロードを進み日勝峠を越えて十勝清水へ入る。 十勝清水から然別湖を通過するあたりで完全に日没となった。 幌鹿峠を越えるあたりでは、まわりに走っている車もいなくなり、そのままUFOに連れ去れるんではないかと思った。 

国設ぬかびら野営場

 19:50、糠平湖を過ぎて国設ぬかびら野営場に到着。 エゾマツ林に囲まれた広さ約4ヘクタールの広いキャンプ場。車の乗り入れはできないが、テントキャンプには快適なサイト。シーズン中なので客がたくさんいるかと思いきや、1台駐車場にキャンピングカーが泊っているだけで他に宿泊客がいる気配がない。 ただ、おどろいたことに、キャンプ場の中をエゾシカが闊歩している。人間がいないのにである。 仕方ないのでエゾシカを追い払って、テントを張る。 買ってきた弁当を食べたらもう21時近くになってしまっていた。 ああ、今夜も寝不足のまま、明日山に登ることになる。北海道の夏は朝が早い、3時半くらいには歩きだしが可能である。 一方、19時を過ぎてもまだ歩けるので、その意味で行動時間が長く取れるがキャンプでの休息時間が短い。

十六の沢登山口

 7月26日(木)朝2:50起床。 登山口の十六の沢コースの入り口には数台しか駐車スペースがない、と聞いていたので、早めに出発を心掛ける。 30分ほど走って十勝三股へ。 ここから十六の沢川をさかのぼる形で進む十六の沢林道をさらに20分ほど走る。 朝4:30、登山口に到着。 バイク1台の先客がいるだけで駐車スペースにはまだ車はない。 自分の車を停めて出発の準備。 4:50出発。 今日は長い1日になりそうである。 

 

天狗のコル

 しばらくは樹林の中の我慢の登りである。 展望はまったくない。 ひたすらにしらびその原生林の中をジグザグ切って登っていく。途中で大岩を越えるところがあったが、特に難なく進む。 3時間近く歩いて7:52、展望の開ける場所へ出た。 やれやれ、ここが天狗のコルである。 眼下には小天狗といわれる平坦地が見えている。 ここから昔は岩間温泉へ降りるコースがあったようだが今は廃道になっているようである。水場があると地図に記載されていたがどこなのかわからなかった。 私が出発してからすぐに1台、軽自動車で来られたご夫婦を登ってきて休んでいた。

前天狗

 8:40、前天狗(標高1888m)正面に本日初めてニペソツ山が姿を見せた。 いやいやガイドブックに出ているとおり素晴らしい山容である。 山頂部の屹立した峰が険しい山であることをまざまざと見せている。 

 

天狗岳

 9:30天狗岳。 ここから、どーんと、ニペソツ山への急峻な尾根が続く。 とはいうもののガスが出てきており、なかなか視界が利かなくなっている。バイクの青年と前になったり後ろになったりしながら進む。 まあ、幌尻岳のときと違って近くに登山者がいるというのは安心である。ニペソツ山頂まではここから150mを一気に降り、また300m登り返す。後半にこれは結構こたえる


ニペソツ山山頂

 11:08ニペソツ山山頂到着。 バイクの青年とお互いに記念写真を撮る。 昼食に持ってきたパンを食べる。 朝が4:50出発だったのでかなり空腹の登山となった。 山頂までのコースタイムは地図では7時間になっていたが、実際には休憩を入れても6時間で着くことができた。 やはり空身であることと夏場で天気が安定していることが幸いだったようだ。 残念ながらガスにおおわれて展望は見えなかった。 



下山開始

 12:11、山頂で待っていたが残念ながら回復する様子はなかった、あきらめて下山。  ガスのわく稜線を引き返して再び往路を戻る。途中、結構切り立った崖を通過する、ここは慎重に進まなければならない。 あとからきていると思った軽自動車のご夫婦連れについぞ会うことはなかった。 おそらく引き返したのであろう。  

お花畑を進む

13:14前天狗の手前でエゾノハクサンイチゲの群落を見つけた。この時期の北海道の山は本当に花が見事である。 登山者は数名すれ違ったが、それでも平日ということもあり、このくらいの人数なのであろう。 神奈川県からきているご夫婦連れもいた。 私と同じようにマイカーを太平洋フェリーに乗せて北海道まで運んできたのだという。 昨日は石狩岳に登り、今日はニペソツということなので百名山を終えて二百名山に登る旅をしているご夫婦かもしれない。 


層雲峡温泉

 16:30無事下山。 まだ十分日が高いので、今日はこのまま国道273号線を北に進んで層雲峡温泉に入って、 キャンプ場に泊ることにする。 層雲峡温泉黒岳の湯でゆっくりつかって、きのこの里あいべつオートキャンプ場に泊る。 シーズンだということでそこそこに車は入っていたが、私のようにフリーサイトに停める人はあまりいなかった。 芝生に寝転がって、明日の羊蹄山登山に思いをはせる。     



 思い切ってニペソツ山に登った。 幌尻岳を下山してからのアプローチが大変であった。 しかしながら、噂に聞いたニペソツ山はやはりすごいというのが実感である。 コースタイムが長いので、どうしても日没までの時間の長い時期に行くことを考えてしまうが、記録を見ていると日帰りで秋に行っている人もいる。 確かに紅葉の写真があったが素晴らしい景色である。 この山だけで写真集が一つできるのではないかと思うくらいの景観の山であった。 自分の場合は展望に恵まれなかったが、北海道に登山に行く方にはぜひお勧めである。

(2016年4月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています