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石狩岳
石狩岳

基本情報
1 山名 石狩岳(いしかりだけ)
標高 1967m (最高地点) 
山域 石狩山地
都道府県 北海道
位置 N43.32.48/ E143.01.20 
地図 昭文社 山と高原地図3「大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳」
2万5千分の1地図「石狩岳」
20万分の1地勢図「北見」
7 山岳区分 日本二百名山・北海道百名山
登山記録
山歩No 2020-230425
登山日 2022年7月13日(木)
歩程 7時間43分(シュナイダーコース登山口ー山頂・往復)
天候 曇り時々雨
形態 日帰り
アプローチ 国道273号 シンノスケ迂回林道音更川林道経由 石狩岳登山口まで14km
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/-BRw3HJg_BA

 石狩岳は東大雪山系の一つである。 日本200名山であるのでこの山をいつか登らなければいけないと思っていた。  2007年にすぐ南のニペソツ山に登った。 このときは日程の関係で石狩岳に登ることができなかった。 今回北海道の登山計画を立てたときに、 この石狩岳が自分の計画の中で一番北東に位置する山となってしまい、 アプローチに結構な時間がかかることがわかった。 しかしながら計画を編成するにあたり、やはり中盤にこの山を入れないわけにはいかない。 (実際計画は、余市・暑寒別からぐるっと大雪山系を時計回りにまわって日高山脈と樽前山へ行く計画にしたので、石狩岳はちょうど、中間地点となる。) 北海道遠征にあたって何としても登り残すわけにはいかない山としてずっしりとのしかかってきた。 

美瑛岳下山後の停滞

 2023年7月9日(月)、 11日美瑛岳下山後に、当初は層雲峡の近くにテント泊をして、翌日12日に石狩岳登山をして、下山後に幌加温泉に泊まって翌日ニペソツ山を登る、という予定を立てていた。 しかし残念ながら、計画していた7月12日(水)が北海道中部地方が雨の予報となり12日に予約していた幌加温泉の宿はオプタテシケ山を登る前日の7月9日に天気予報で判断してキャンセルの連絡を入れざるをえなかった。 天候とにらみながら石狩岳の登山日を決めるというゲリラ的対応をしなければならないことになった。

シュナイダーコース登山口へ

 2023年7月12日(水)、 この日は美馬牛のユースホステルで目を覚ました。 前日十勝連峰の美瑛富士避難小屋から美瑛岳に登って、降りてきてあと天候がやはり予報どおり崩れてゆき、美馬牛に宿を取ったというものである。 実際、11日(火)は予報どうり、昼ぐらいから雨が降り始めて、その中を美瑛富士避難小屋から下山して、美馬牛に泊った。 12日も結局旭川および層雲峡の観光だけで終わった。 夕方翌日13日の天気回復を狙って、上士幌町の十勝三俣から、林道を14km車を走らせて、 シュナイダーコースの登山口までとりあえずやってきた。  美瑛富士避難小屋で会って少し話をした女性が、以前石狩岳登るとき、 十勝三股からスシュナイダーコースの登山口に入る途中で、 林道でヒグマに逢ったと言ってたので、正直ヒヤヒヤしながら林道の中を車で入ってきた。 一番気を使ったのは夜たったひとりでこの登山口で車中泊することである。 携帯の圏外であり、ヒグマに襲われたらひとたまりもない。

駐車場出発

 2023年7月13日(木)幸い、朝、雨は上がって上士幌町の天気予報は曇りで降水確率は40%であったので、 まあなんとか登れるだろうと踏んで登山を開始する。 朝4時半に起きて、そろそろ明るくなってきた駐車場で湯を沸かしてかっぷうどんをつくる。 準備をしていたら5時頃に車が一台駐車場に入ってきた。 香川県から来たご夫婦連れである。 昨日の晩は幌加温泉に泊まったということである。お二人は登山準備も完了していたので自分よりも早く登山を開始して行った。 自分も少し遅れて5時20分出発。

渡渉地点の道標

 登山口を出発してしばらくは比較的平坦な道を林の中を進んでいく。 ある程度ルートははっきりしているのだが、 一箇所間違えて尾根伝い登って行ってしまいそうになった所があり、 踏み跡が途中で切れているのでおかしいなと思って引き返して来て正しい道に出た。 林の中を40分ほど進むと小さな沢があらわれた。 音更川の支流をを渡るのだが、 昨日結構雨が降ってたので、 水かさが増していてちょっと苦労した。 沢をわたると道標が現れ、 ここからシュナイダーコースの急峻な尾道が始まる。 道標を過ぎてすぐにジグザグを切り、 急な登りとなる。沢から一気に標高を上げながら登っていく。 

急峻な尾根筋の登り

 やがてルートは稜線の上に出て北西に向かって進んでいく。 道はっきりしているのだが、ところどころ分かりにくいところがある。 あとは突然傾斜が急になったりして、 木の根を掴みながら這い上がるようにして登っていくような箇所もある。 少し痩せた岩場を渡るようなところもあり、結構緊張した。 かくれんぼ岩という名のついたおちゃめな岩もあった。 ハイマツの下を潜り抜けながら進んでいく。 次第に標高が上がり、目指す稜線が近づいてくるのがわかる。
 

稜線分岐(音更山との)

 9時10分音更山からの道との分岐の稜線に辿り着いた。 広くなっていたのでここで少し休憩をする。 行動食を食べる。 前を行く香川県のご夫妻はもう山頂への登りに取り付いているようである。 200mほど先にいるだろうか? 先頭を歩くご主人がほら貝を吹いてヒグマを近づけないようにしてくれているので助かる。  2日前にここ登ってた人の山猫の記録を見ると、 ヒグマの親子か目撃されている。 今日は特に視界が悪いのでヒグマ等遭遇する危険がある。 自分も時折ホイッスルを吹き鳴らしながら歩いて行くことにする。 少し歩くとコマクサの群生地があった。
 

ヒグマの痕跡

 稜線からは完全にハイマツ隊の中を登っていくことになる。 ブラインドになるところでは必ずホイッスルを吹いて通過する。 十勝三俣側から登っている時には、雨に当たらずにすんだが、稜線にくると少し小さな粒の雨が風に舞うようにして降っているのでレインスーツを着て上がっていく。 途中道の真ん中に降ぐまのマーキングがあったりしていやでも恐怖心は追ってくれる。キョロキョロと周りを見渡したがヒグマの姿を目にすることはなかった。

石狩岳山頂

 次第に傾斜が急になり山頂が近いことがわかる。先に登っていた香川県のご夫妻が降りてくるのとすれ違った。 山頂から最高峰までは片道10分程距離があるのだが、 おふたりは最高峰にはいかなかったということである。 確かに最高峰に行っても何も標識は無いようである。 標高が1m高いというだけであるが、 ただほかの人の記録を見ると、せっかくなので山頂を通り越して最高峰まで行ってる人が多いようである。 自分も時間があれば行ってみようと思う。 10時16分、ひときわ中になったところ登りきると石狩岳の山頂標識があった。 三角点らしき標識もある。 一旦ここで証拠となる写真を撮ろうとしたが、周りはすべて霧に覆われていて残念ながら展望はなかった。

最高峰で万歳三唱

 あまり山頂で長居してクマ鈴が静止して鳴らない状態もまずいので、 休憩もそこそこに最高峰を目指すことにする。 最高峰までは途中で一つピークを越えてさらに先のピークに登ると、そこにケルンがあり、最高峰であった。 さきほどの山頂の1966mより1m高い、1967mと地図には表示がある。 最高峰のハイマツの中で晴れていればきっと景色が良いのだろうが残念ながら周りは何も見えなかった。 360度動画だけ取って、元の山頂へ引き返す。 山頂へ引き返して三角点の写真を撮り万歳三唱動画を撮影し、 自分も早めに下山を決める。 ハイマツの中のくだりでは、ヒグマに逢わないでくれと祈りながら進んで行く。
 

再び 稜線分岐へ コマクサ群生

 11:09、音更山との分岐まで着いたが、 前を言っていた香川県のご夫妻はもう先に行っているようで姿もなかった。法螺貝の音は時折聞こえるのであまり離れていないと思う。 自分は分岐に座ってここで昼食を食べる。朝お湯を注いでおいたアルファ米とテルモスに入れているお湯でカップスープを作る。 稜線上はやはり標高が高いということもあり風が吹くと体が寒い。 食べて動けばまあなんとかなると楽観的に考えて、そそくさと昼食を済ませる。 昼食が終わり、11:34 下山を開始する。 元きた道を忠実にたどる。 

下山 林道を戻り幌加温泉立ち寄り

 標高差の大きい急傾斜の道なので、下りの方が結構か気を使う。 ピッケルを持ってるので場合によってはそれをバランス棒代わりに使いながら慎重に岩場を下りていく。 標高1100mぐらいのところにくるともはや霧雨のような雨すら降っていなかった。 やはり天気予報の通り上川町側は雨、上士幌町は曇り時々晴という天気なのだろう。 慎重に下ってゆき、渡渉を完了して、14時40分に自分の車に戻る。 香川県のご夫婦の車はもう無かった。 荷物を車にしまい元の林道を慎重に走って国道291号線へとでる。 昨日林道の入り口が分かりにくかったので、念のため入り口の写真を撮っておいた。 その足で幌加温泉に行き3日前に宿泊予約をキャンセルしたキャンセル料を現金で支払う。

国設糠平野営場

 それから今夜の宿である国設糠平野営場へと向かう。 糠平温泉郷の中の中村屋へ立ち寄り日帰り入浴をする。 入浴してさっぱりしてから国設糠平野営場へ行く。このキャンプ場はかつてニペソツ山に登る前の晩に宿泊した場所である。そのときは、幌尻岳から下山して延々と平取町から鹿追町を経て運転して夜到着したので、真っ暗なテント場だった記憶しかない。 場内を鹿が闊歩していたことだけを鮮明に覚えている。 ちなみにそのときも、今回も宿泊客は自分ひとりの孤独の泊りであった。 

なんとか石狩岳の登場を果たすことができた。 この山に登れないと結構200名山制覇のためにはバリアになりそうだったので、登頂できたのは良かったと思う。 ヒグマにも逢わなかったので本当にラッキーだった。 展望はなかったが他人様の記録の写真で展望の美しさを想像しておきたいと思う。

(2023年11月記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています